こうしんび 2025年 ごがつ2日

レポート掲載

札幌国際げいじゅつさい2027 キックオフ カンファレンス 第1部

企業げいじゅつさいの新たな実験

札幌市 図書情報館1Fサロン

2025年6月25日 水曜日

目次

レポート

SIAF2027ディレクターチーム(左から)スクールディレクター 漆 崇博(うるし・たかひろ) / クリエイティブディレクター 小川秀明(おがわ・ひであき) / スタジオディレクター 丸田知明(まるた・ともあき) / フェスティバルディレクター 細川麻沙美(ほそかわ・あさみ

ろくがつ12日もくようびにテーマとアドバイザーの就任を発表した札幌国際げいじゅつさいサイアフ2027 ろくがつ20日きんようび 開催に向けた第一歩となるキックオフカンファレンス2部制を札幌市図書情報館1階サロンで開催しました 今回は第1部未来をきょうそうする企業げいじゅつさいの新たな実験の様子をお届けします

第2部についてはこちらをご覧ください

サイアフ2027は前回のサイアフ2024に引き続き げいじゅつさいを市民が参加できる未来の実験の場と位置づけ 企業とともに社会課題や新たなビジョンの探求に取り組んでいきたいと考えています イベントでは企業によるげいじゅつさいを通した価値創造をテーマに ディレクターチームがトークを行いました

サイアフの歩みとサイアフ2027最新情報

まずは細川ディレクターが 初回のサイアフ2014が開催されるまで そしてサイアフ2014からサイアフ2024までの歩みを振り返りました

10年にわたる試行錯誤や挑戦を重ね サイアフ2024では特に企業連携において大きな成果が生まれました

サイアフの歴史はサイアフ2024記録集新しいげいじゅつさいのつくりかた 札幌国際げいじゅつさい篇に詳しく掲載しておりますので こちらもぜひご覧ください

続いて ろくがつ12日もくようびに解禁となったばかりのサイアフ2027最新情報について小川ディレクターが紹介しました

サイアフ2027では札幌をひとつの星PLANET SNOWに見立てます 惑星という大きな観点から 人類とは何か 地球とは何か 宇宙とは何か という壮大な物語を展開していきます

今回のテーマはアイヌ語でも表記されており ウパシは雪 ミンタラは庭 ノチウは星を意味します イベント開催日にニュージーランドに滞在していた アイヌ文化コーディネーターのマユンキキさんからは ニュージーランドのマオリ語のように 全てのものに日本語とアイヌ語が併記されるまでには時間がかかりますが サイアフの姿勢がその一助となることを期待していますとメッセージが寄せられました

  • 1 マオリ語ニュージーランドの先住民族であるマオリ族の言語

そして サイアフ2027では新たにアドバイザーのポジションを設け 宇宙飛行士であり札幌市青少年科学館名誉館長の山崎直子さんを選任しました 山崎さんの宇宙飛行士としての経験や宇宙科学の知見が テーマPLANET SNOWとコラボレーションし サイアフ2027の企画につながっていきます 当日はなんと ご本人がサプライズで登場とはなりませんでしたが 山崎さんからのメッセージ動画が放映され 会場の期待感が一層高まりました

創造エンジンとしてのサイアフ2027について

次に 創造エンジンの実践について小川ディレクターが紹介しました 創造エンジンEngine for Creativityとは サイアフ2024の在り方を示したキーワードのひとつで 未来志向を生み出す仕掛けを意味します
小川ディレクターが携わる世界的文化機関アルスエレクトロニカでは 企業とのきょうそうにより 最新テクノロジーを活用したプロジェクトを多く展開しています テクノロジーを軍事技術ではなく文化技術に変えられるかという観点から げいじゅつさいの役割は大きいといいます サイアフ2027の創造エンジンは アーティストや市民と共に 未来を体験できる空間や 新しいアクションを生み出すことを目指します

サイアフ2024ではイニシアティブパートナー8社と連携し 各会場でユニークな展示やプロジェクトを展開しました
イニシアティブパートナーの取り組みは サイアフ2027でもさらにスケールアップして継続していきます サイアフ2027はまっさらな状態ですが 大きなフレームでPLANET SNOWを展開させたいと小川ディレクターは語ります どんな未来や風景を作りたいのか PLANET SNOWでどんな実験を行いたいのか 思いついたこと やってみたいことは是非お知らせくださいと 来場者に対し参加を呼びかけました

  • 2 イニシアティブパートナー自社の技術やノウハウを活用し 未来のテクノロジーや環境問題などを体験想起できるアート作品やプロジェクトなどをともに作り上げていく企業のこと

小川ディレクターの話を受けて ディレクターチームは下記のようにコメント

細川ディレクター
サイアフ2024のメイン会場である未来劇場では イニシアティブパートナー3社と協働した 企業とのきょうそうを通し アート作品を展開するだけではなく げいじゅつさいの実験的な部分を広げられたと感じている

漆ディレクター
株式会社ワコムとの連携はサイアフスクールの継続プログラムにつながり 今年は市内の小中学校で出前授業を実施する サイアフ2027の会期など どこかで子どもたちの成果をお披露目する機会を作りたい

丸田ディレクター
企業ときょうそうするうえではどのような空間で どのような体験が提供できるかという場所性が重要となる サイアフ2027に向け スタジオが各企業との調整役となり サイアフと企業が協働できる場をつくっていきたい

イベント終了後には30分程度の交流会が行われました 多くの参加者がディレクター陣や協賛担当と挨拶を交わし 賑やかな雰囲気のまま終了時間を迎えました

おわりに

今回の来場者アンケートでは 企業や団体による文化芸術アート分野との連携きょうそうについて意見を伺いました

イニシアティブパートナーのように 企業団体が文化芸術に携わる機会を非常に重要ある程度重要と考える意見が9割以上を占める一方 連携やきょうそうの機会が豊富にあると感じる企業は1割程度に留まることが分かりました サステナブルなげいじゅつさいを目指すサイアフとしても 企業とより積極的に力を合わせ つながりを広げていく必要性を改めて感じました

企業の方々や市民の皆様に参加していただき きょうそうの空気感が立ち上がる ワクワクするキックオフとなりました ご来場いただいた皆さま ありがとうございました ここからサイアフ2027を盛り上げるべく さらに準備を進めていきます 引き続き札幌国際げいじゅつさいにご注目ください

また サイアフでは協賛に賛同していただける企業を大募集しております 広告への企業ロゴ掲載や 札幌市外の企業向けには企業版ふるさと納税の制度活用など 協賛いただくメリットもご用意しています ご興味をお持ちの方はsupportsiaf.jp までご連絡ください

おまけ

札幌市図書情報館の司書の方々に イベントに合わせてサイアフ2027に関連した書籍のセレクトコーナーをご用意いただきました これまでにサイアフが発行した書籍 宇宙やアートに関連する実用書など 魅力的なタイトルがずらり

札幌市図書情報館の皆さま 多大なご協力をありがとうございました

  • 選書セレクトコーナーは現在終了しています

イベント情報

第1部:企業×芸術祭の新たな実験

2014年にスタートした札幌国際芸術祭(SIAF)は、「誰のための芸術祭なのか」を自問自答し続けてきました。10年以上にわたる試行錯誤を通じて見えてきたのは、芸術祭で生まれる価値を市民に還元することの大切さです。その価値とは、経済的な利益だけでなく、“札幌らしさ”の再発見や、鑑賞から行動へと市民の参加意欲を引き出す仕組み、知的好奇心や探究心の醸成など多岐に渡ります。こうした市民への価値還元は、私たちのアイデンティティであり、SIAFの独自性だと考えています。

2027年1月から2月に開催予定のSIAF2027では、この方向性をさらに深め、SIAF2024よりもさらに新しい次世代の芸術祭へと進歩させようとしています。今回のキックオフイベントの第1部では、企業とともに芸術祭を「実験の場」として活用する可能性を探ります。第2部では「学び」をベースにした市民参加のあり方を考えます。また1部・2部どちらも、2025年6月に発表予定のSIAF2027のテーマについて詳しくご紹介します。

札幌国際芸術祭2024ダイジェスト

SIAFは2024年の開催から芸術祭を市民が参加できる未来の「実験の場」と位置付け、企業とともに社会課題や新たなビジョンの探求に取り組んできました。そして、SIAF2027に向けても企業が主体的に参加できる場を提供しようとしています。

このセッションでは、SIAF2024における芸術祭と企業のイニシアティブ・プロジェクトを振り返るとともに、オーストリアの文化機関であるアルスエレクトロニカが実践する多彩なイノベーション事例を紹介します。さらに、既存の枠組みを超えた未来志向のプロトタイピングや、社会との新たな接点創出について、各ディレクターから展望をお話しします。

ビジネスパーソンの皆さん、芸術祭という実験場で新たな価値創造に一緒に挑戦してみませんか?

 

SIAF2024での企業連携

SIAF2024では、“イニシアティブ・パートナー”制度により、企業とアーティストが共創するプラットフォームを構築しました。さらに、複数の協賛企業を募り、展覧会協賛や広告出稿を通じて、企業のブランド価値向上と社会課題の解決を同時に実現しました。

INTO SIGHT at SIAF2024(ソニー)

INTO SIGHT at SIAF2024(ソニー)

ソニーグループ クリエイティブセンターによるインタラクティブインスタレーション。来場者の動きに応じて光と音が変化し、平川紀道氏とのコラボで国内初展示を実現しました。

Sony Design in collaboration with HIRAKAWA Norimichi《INTO SIGHT at SIAF2024》
平川紀道《雪花譜 / six-petal automata》
Photo by MOMMA Yusuke

Last Inkー連想ドローイング(ワコム)

Last Inkー連想ドローイング(ワコム)

株式会社ワコムのペンタブレット作品。参加者がカードイラストをもとに即興ドローイングを行い、創造性とコミュニケーションを促進。教育現場での活用も視野に入れた体験型プログラムです。

株式会社ワコム《Last Inkー連想ドローイング》
Photo by FUJIKURA Tsubasa


イベント概要

日時 2025年6月20日(金)
16:00〜17:00(17:30まで交流会あり)
会場 札幌市 図書・情報館1Fサロン
(札幌市中央区北1条西1丁目 札幌市民交流プラザ)
プログラム内容 ・SIAF2027テーマと芸術祭の歩み
・SIAF2027が目指すもの―創造エンジンとしての芸術祭
・企業協賛のご案内
・交流会・名刺交換(自由交流)
定員 50人(先着)

 

登壇者紹介

  • 小川秀明(クリエイティブディレクター)
  • 細川麻沙美(フェスティバルディレクター)
  • 漆 崇博(スクールディレクター)
  • 丸田知明(スタジオディレクター)

ディレクター集合写真

左から 漆、細川、小川、丸田