準備と会場選定

げいじゅつさいによって異なる準備期間

げいじゅつさいの一般的な準備期間を聞かれても 答えるのは難しい
げいじゅつさいには 各年から複数年毎に開催されるものもあり その内容やジャンルは個々すべて異なるからだ

毎年開催されるげいじゅつさいはコンテスト方式で展示内容が採用されることが比較的多く テーマに沿った展覧会を有するげいじゅつさいは 2年以上の準備期間を要しているのが一般的なように思われる

サイアフ開催までの3年間

サイアフの開催までの大きな流れを紹介してみる

まず事務局は 開催翌年度の1年目は基本的にスタッフが半分以下の状態となる
この最小限の新体制で 次回開催の方針とそれに紐づくディレクター選考方針を固めていく

また 1年目の事務局予算は極端に少なくなるので 限られたなかで広報や普及プログラムを検討しなければならない
終盤になるとディレクターが決定し 視察や事務局との打ち合わせが進んでいく

後述するが この頃には会場選定の大枠を決定し 事務局からディレクターに提案する必要がある

2年目になると 市役所職員も増強され 本番に向けた土台が整ってくる
テーマも決定され 会場の調整も本格的に始まる
開催までには複数回のプレス発表をするため 発表内容によって調整事項が変化する
徐々に参加アーティストの札幌視察なども始まり その来札に合わせてプレイベントなども開催されるようになる

開催年となると 外部スタッフ含め 事務局メンバーのさらなる増強が必須で 事務局は一気に賑やかになる

そして 事業展覧会の制作 広報 運営現場の運営 総務経理というような明確な役割に応じた業務の同時進行が始まる
情報共有が難しくなるが さまざまな試行錯誤を経て開催まで奔走することになる

数年前からの会場選定

サイアフ事務局は札幌市役所内にあり 2015年から活動拠点としている札幌市資料館旧札幌控訴院の一部を除けば 固定の開催会場を持ち合わせていない
そのため げいじゅつさい実施に向けては まず使用可能な会場を確定する必要が出てくる

サイアフの主要会場には 札幌芸術の森美術館以下 芸森やほっかいどうりつきんだいびじゅつかん以下 近美といった美術館が含まれているが 展覧会準備のため数年前から予約 確保される場合が多く 3年前でも調整は早すぎるわけではない

会場の運営母体

会場選定についての前段で二つの美術館を例に挙げたが この2館の運営母体は異なっている

近美は 北海道教育委員会 芸森は 札幌市芸術文化財団で 札幌文化芸術交流センター SCARTSもここに該当する モエレ沼公園の管理者は札幌市公園緑化協会である

組織が異なれば 使用条件やルールはまったく異なる
サイアフ2024の各会場は 大きなストーリーで結ばれていたが 一歩踏み込めば 実際は異なる組織のルールの上で事業が成立しており さまざまな調整の結果としての 一体感といえるだろう

上記以外の 未来劇場や地下公園 サイアフ2017での民間ビルの調整は ケースバイケースである

民間施設や空き物件は 数年前からの予約は難しく 待ってみるしかない場合も多く 美術館などと足並みを揃えた準備はできない 会場選定の難しさはここにある

サイアフ2024でメイン会場となった未来劇場も 簡単に決定したわけではない
事務局想定の会場に加えて ディレクターから札幌市街地でまとまって作品がみられる会場が追加リクエストされ 奇跡的に条件に見合う施設が空いてはいた

ただし 一つの会場を追加できるかどうかには 予算の調整が伴う
未来劇場のような巨大会場が追加になるとしても全体予算が増えることはないので どこかの予算を動かすという大きな判断が必要となり 一種の賭けのような状況にもなる

札幌市が主催している以上 市が管轄している施設は優先的に会場となってはきたものの 毎回どのような会場が相応しいのかを 必要な時期に都度検討を重ねてきた

サイアフの会場選びはいわばトライアンドエラーの歴史である

企画の分担

サイアフ2017までは サイアフ事務局がすべての会場の企画者を選定していたが サイアフ 2020からは 組織が管理している会場から企画担当者を選出してもらい 実施までを委託し 公式会場として連携する方法をとっている

これは サイアフ2020ディレクターであった天野太郎氏が 近美から学芸のキャリアを積んだこともあり 当初から地元人材の採用を念頭に企画を進めたことに端を発している

そのため サイアフ2024においては 事務局が直轄して企画を進めた会場と 組織が管理運営する会場の2種があった
後者には 事務局から想定予算と 実施に関する条件リクエストを提示し その上で 組織ごとに企画を進めてもらった

会場ごとに個性が出た一方で げいじゅつさいとしての統一感や情報共有 責任範疇の線引きなど まだまだ検討すべき課題は多い

今後のサイアフ開催に向け そして札幌の文化芸術の発展を見据えて 事務局は今後も柔軟に変化する必要がある