札幌国際芸術祭2014
初回となったサイアフ2014では 世界で活躍するアーティストが参加し これまでなかなか札幌で体験できなかったような作品やプログラムを まち全体を使って展開しました
ゲストディレクターは音楽家である坂本龍一 幅広い分野で活動する彼自身の作品坂本龍一真鍋大度センシングストリームス-不可視不可聴- 坂本龍一YCAM InterLabフォレストシンフォニー in モエレ沼や 環境を包み込むような霧を生み出す作品中谷芙二子FOGSCAPE 47412 子どもが体を使ってあそびながら楽しむ公園型の作品YCAM InterLab五十嵐淳コロガル公園 in ネイチャーなどが登場
市民はもちろん 国内外からの多くの来場者が まちの魅力とともに最先端の芸術を堪能しました
- テーマ
- 都市と自然
- サブテーマ
- 自然 都市 経済地域ライフ
- 開催期間
- 2014年しちがつ19日くがつ28日 / 72日間
- ゲストディレクター
- 坂本龍一
ゲストディレクター:坂本龍一, Photoby zakkubalan ©2020 Kab Inc.
ディレクター総括
札幌国際げいじゅつさい以下 サイアフ2014が閉幕してから既にかなりの日数が経つが 僕のなかにはまだ余韻というか 興奮がくすぶっていて 簡単に区切りをつけられない状態が続いている それはサイアフが僕たちに与えてくれた何らかの種なのかもしれない それが将来 何に結実するのか僕自身も定かではない
来場者約48万人という数字の意味やかかったコストなどについては 市議会などできちんと検証されるだろうが 我々スタッフも確実にその実りと反省点を認識し 未来につなげていかなくてはならない そのためには 参加した様々な立場の者が集まり 何をもってサイアフの評価基準とするかの議論が必要だ また このドキュメントもその一環だが サイアフ2014の徹底的なアーカイブ化も望まれるが それにかかるコストはどうするか アーカイブをどこにどう保管するかなども決めなくてはならない
今回展示された作品のなかで 島袋道浩の一石を投じるや中谷芙二子の FOGSCAPE 47412などは 世代を越えて多くの方の記憶に残っているだろう それらを継続的に展示してほしい という市民の声も多かった それらの作品が契機となって 将来アーティストやサイエンティスト 文化人類学者などが育つとしたら それもサイアフ2014が蒔いた大きな種だろう
また とくいの銀行暮らしかた冒険家などに接した方 ボランティアとして参加した市民のなかには より身近に暮らしのなかでアートに関わろうとしだした方もいる サイアフによってせっかく生まれたネットワークや交流が途絶えてしまうのが惜しいので いつでも集まれるようなボランティアカフェを作ろうという意欲をもった方も出てきた 僕も機会があれば そのような集まりに参加して 是非交流してみたい このような日常的なアートへの接し方 そして市民による自主的なプロジェクトが続いていけば それは今後のサイアフのための大きな核になるのではないか 何より大事なのは 高いお金をかけて海外の有名なアート作品を一定期間展示し フェスティバルの閉幕とともに何事もなかったように日常に戻ってしまうというのではなく 市民の日常のなかにアートが根付いていくことなのだから アーティストが市に長期滞在し市民とともに作品を作るのもいいし アーティストが街に入り 空き店舗などをリノベーションし カフェやギャラリーなどとして利用するなんていうこともあっていい また行政 議会 市民のつながりを活性化し 市長 議員 職員も参加するタウンミーティングなどを開いて 今後のサイアフのあり方を ざっくばらんに話し合うのはどうだろう
市民のサイアフへの関わり方には 様々な扉が開いている 今回参加しなかった方々も是非 次回は何らかのかたちで関わっていただきたい
2014年1にがつ
坂本 龍一
人と自然が響きあう都市のかたち 札幌国際げいじゅつさい2014年ドキュメント 平凡社より転載