「アートミーツケア学会」に参加しました。~公募プロジェクト「IHAVE a DREAM アフリカを作ろう~ひがし町パーカパッションアンサンブル」がミニライブを実施
去る11月5日(土)、6日(日)、札幌市立大学芸術の森キャンパスにおいて「アートミーツケア学会」総会・大会が開催されました。「医療とアート」「高齢者とアート」「障害と創造性」などアートとケアに関する調査研究を推進する学会で、会員相互の議論、情報交換、交流の場として年1回、各地で開催されています。
札幌国際芸術祭は、札幌市立大学とともに共催というかたちで参加させていただきました。
具体的には、初日の午後に「札幌国際芸術祭2017記念講演」という枠をいただき、
・大友ゲストディレクターからのビデオメッセージ、
・バンドメンバー(企画メンバー)上遠野敏さんの講演、
・公募プロジェクトの企画の一つ「IHAVE a DREAM アフリカを作ろう~ひがし町パーカパッションアンサンブル」の代表、立花泰彦さんの講演とメンバーのミニライブ、
という3本立てで参加させていただきました。
当初、大友ゲストディレクターへの講演依頼があったのですが、残念ながら、この日、大友さんは別な仕事で札幌に来ることができずビデオメッセージでの参加となりました。
「芸術祭ってなんだ?」というテーマの趣旨、札幌国際芸術祭で目指すもの・・・などについて語っていただきました。
次に、上遠野さんの講演。上遠野さんはSIAF2017企画メンバーである以前に、市立大学の教授でもありますが、SIAF2017でもクローズアップすることとしている札幌の至宝「レトロスペース坂会館」と「大漁居酒屋てっちゃん」をご紹介いただきました。
アートであるかどうかを問う前に、プロフェッショナルでもない方々によるその愛情と情熱のすばらしい集積・・・そうしたものも等しく紹介をしてみなさんと共有していこうという芸術祭の趣旨を伝えていただきました。
最後は、「パーカパッションアンサンブル」。
はるばる浦河町から来てくださいました。冒頭に書いたとおり、彼らは、SIAF2017公募プロジェクトの5企画のうちの一つ・・・障がいのある人たちと一緒にパーカッションのアンサンブルを行っている方々です。
代表の立花泰彦さんの講演の後、演奏を披露していただきました。
慣れない場所で最初は緊張していたように見えましたが、最後はメンバーのみなさん笑顔で演奏そして踊りも披露してくれました。
音楽を譜面というものに記号化して伝え、それを再現してきた西洋音楽の歴史、そこからくる「楽譜という記号の解読ができるかどうか」という音楽教育・・・。
そこからいったん離れて、音楽というものはそもそも人と人とのコミュニケーションであり、音楽の喜びはコミュニケーションの喜びであって、そういうことを実践しようとしているのが「パーカパッションアンサンブル」である。
立花さんのお話はそういう趣旨であったと思いますし、メンバーたちの笑顔が、なによりもそのことを証明していると感じました。
さらに、立花さんのお話の中で印象に残っている言葉・・・。
「最初の頃はどうやって演奏を終わらせようか困っていたが、やっていくうちにだんだん演奏の中でコミュニケーションが取れてきて、ピタッと曲を終えられるようになってきた。それはそれですごいのだが、しかし、本当はそんなことはどうでもよくて、そんなことも壊しちゃって、もっともっと自由にやってもらって、そしてその先に何があるのかを見てみたいんだ・・・。」
ネガティブな意味ではなく、このアンサンブルは未完だと感じました。
未完だからこそ選ばれた公募企画であったわけで、既存のアートの文脈にすくい取られることなく、SIAF2017の中で他の企画やアーティストなどとも連携したりしながら、どんどん変化、進化して行ってほしいと感じました。
これからミーティングを重ねて企画の内容を詰めていくわけですが、事務局としても、精一杯サポートしたいと思います。
(札幌国際芸術祭事務局長:熊谷)