レポートアーカイブ動画 掲載

こうしんび 2026年 にがつ27日

fragmentin 藤幡正樹 中里唯馬が来札

サイアフ2027オープントーク アーティストと考えるモエレ沼公園の可能性

札幌市図書情報館 1Fサロン

2026年3月7日 土曜日

目次

レポート

2026年さんがつ7日どようび 札幌市図書情報館1階サロンにて トークイベントサイアフ2027オープントーク アーティストと考えるモエレ沼公園の可能性を開催しました 登壇者には サイアフ2027参加アーティストであるスイスのメディアアートコレクティブfragmentinフラグメンティンからメンバーであるMarc DUBOISマルクデュボワさんとLaura NIEDERローラニーダーさん 同じくサイアフ2027参加アーティストでファッションデザイナーの中里唯馬さん サイアフ2027オフィシャルパートナー藝術と技術の対話DATからエグゼクティブディレクターでメディアアーティストの藤幡正樹さんをお迎えしました モエレ沼公園を舞台に展示を行う3組が集い それぞれの活動紹介やモエレ沼公園での展示に向けた展望についてお話いただく貴重な機会となりました

(左から)Marc DUBOISさん、Laura NIEDERさん、中里唯馬さん、藤幡正樹さん

札幌国際げいじゅつさいサイアフとモエレ沼公園

まず司会の細川ディレクターからサイアフの概要説明を行った後 今回のテーマであるモエレ沼公園の紹介へ 1982年に着工し 2005年にグランドオープンしたモエレ沼公園は イサムノグチが人間が傷つけた土地をアートで再生する それは僕の仕事です という言葉とともに公園全体がひとつの彫刻作品という考え方を提示し その構想に基づいて形作られていった場所です オープンディスカッションに入る前のイントロダクションとして サイアフ2014から多くのアーティストがモエレ沼公園を舞台にここでしか成立し得ない作品の展示を行ってきたことについて 写真とともに振り返る時間を設けました

その後 登壇者それぞれから活動紹介があり 休憩をはさんでいよいよオープンディスカッションへ 札幌の地域性やモエレ沼公園の地理的歴史的背景を踏まえて fragmentinや藤幡さん 中里さんがそれぞれどのような着想を得て 今後サイアフ2027へ向けた展示へとつなげていくのか 現時点で考えていることをお話いただきました こちらのレポートでは 登壇者のお話の中からモエレ沼公園での展示に関連した内容を中心に抜粋してご紹介します 全編はアーカイブ動画をご覧ください

アーティストと考えるモエレ沼公園の可能性

藝術と技術の対話というプロジェクトは テクノロジーとアートの関係について考え直すことから始まります その最初の展示が来年のモエレ沼での開催になります このテーマについて考えることは 同時に西洋近代とどのように向き合ってきたのかという問いを ふたたび立ち上げることでもあります その意味で明治に大きな変化を迎えた札幌の近代化の歴史は象徴的であり また イサムノグチというモダニストの存在は こうした問題を考える上でのひとつの重要な梃子になると考えています 今後の展開にご期待ください 藤幡さん

世の中の衣服のデザインは時代の価値観とともに変化していて 150年くらい経つと全く違う服装になる可能性があります これから何をまとっていこうか考えることは面白いテーマ 人類がアフリカ大陸から寒冷地に移動した際 寒さから身体を守るために動物の皮をまとったというのが衣服の起源だと言われています 札幌という寒い場所で みなさんと一緒に未来の衣服を考えていけるような機会にするにはどうしたら良いかというのを 今必死に考えているところです モエレ沼公園は 元々埋め立て地であり 公園の下にはゴミが眠っているという背景も大変興味深いです そんな場所で未来のデザインを考えるのは意義深いことだと思っています 中里さん

冬のモエレ沼公園を訪れて 雪があらゆるものの形状を上書きしているような様子に魅了されました 鋭い角は面取りされ 直線はしなやかな曲線へ 角のある立方体もぽってりとした雪のかたまりへと姿を変えていたのです 雪によって境界がなくなり 新しい道ができ 離れていた場をつないでいるかのようでした 雪がかけてくれた橋のおかげで 立ちはだかっていた壁を突然超えられるようになるのです Duboisさん

大量の降雪をどう管理するかということは大きな課題です そこで雪対策のインフラについて調査するため 札幌の中心部にある融雪槽を訪れました 大量の雪をどこかへ遠ざけるためにこれほど複雑な対策を取っているという状況は非常に興味深いと感じました 夏になればその雪に価値を見出して冷房システムに活用するという点も面白いです この空間から大きなインスピレーションを受けました 水面を漂う雪の動きが実に美しく とても不思議な揺らぎだったからです またそこに響く水の流れる音やポンプによる反復音も気に入りました Niederさん

今回の滞在では中谷宇吉郎の研究についても知り 雪の結晶について極めて特別な唯一無二のものであるという考え方にも辿り着きました 北海道大学博物館にある彼の研究室跡を訪れましたし 札幌市青少年科学館にある中谷教授の人工雪発生装置のレプリカも拝見しました ある瞬間にだけ存在するわずかな量の雪を見つめていると 雪はやはり尊いものであると感じさせてくれます Duboisさん

その場所ならではの素材からインスピレーションを得ることが好きなので札幌ならではの物質についてもリサーチを行いました 滑り止めのために道路にまく黒い砂を見たことがありますかこの一粒の黒い砂を 一粒の雪の結晶と同じくらい尊いものとして捉えたいと考えています この砂は雪とは対照的な色をしています そしていずれ解けて消えてしまう雪に対し この黒い砂だけはその場所に残されていくのです Niederさん

fragmentinさんのアプローチは インフラという 当たり前で何気ない しかし確実に存在しているものを非常に高度に分析し その結果それが突然立体性を持つような感覚があり とても面白いと思っています 私は以前スイスのローザンヌでfragmentinさんの作品展示を拝見して感動したことを覚えています 今回札幌の地からどんな批評性のある作品が生まれてくるのか 非常に楽しみにしています 中里さん

われわれの展示は サイアフ2027との併設という形ではあるのですが 現場では fragmentinと中里さんと一緒に場所を共有することになるので 是非早めに一度話し合える機会が欲しいと思っていたので それがかなって嬉しいです 三者ともこれから実際の展示物を構想し それを1年かけて具体化するわけです この1年間にどんな変化が起こるのかを ここに来場して頂いた方々とその変化を追っていけることはとても貴重な機会だと思います DATは札幌の後には ニューヨークでの展示が予定されていますので ご期待ください 藤幡さん

おわりに

それぞれに活躍する3組の登壇者でしたが アイデアや考え方に共通する点も多く ディスカッションは大変盛り上がりました 今回もたくさんの方々にご参加いただき ありがとうございました 本トークイベントは 以下よりアーカイブ配信を行っています 世界各地で活躍される3組の登壇者がお話された内容や当日の自由な意見交換の様子が全て収録されていますので ぜひご視聴ください

イベント情報

開催概要

fragmentinからメンバーのMarc DUBOISマルクデュボワとLaura NIEDERローラニーダー DATからエグゼクティブディレクターの藤幡正樹が参加し モエレ沼公園での 展示に向けたオープンディスカッションを行います

2/27追加情報サイアフ2027参加アーティストでファッションデザイナーの中里唯馬の登壇が決定

中里唯馬は昨年フィンランドでフィールドワークを実施し その体験から生まれた作品群を今年ごがつにオウル市で展示します
サイアフ2027では その展覧会の一部をモエレ沼公園ガラスのピラミッド内で紹介する予定です

日時
さんがつ7日どようび 14時-16時30分開場 13時30分
会場
札幌市図書情報館1Fサロン 札幌市中央区北1条西1丁目 札幌市民交流プラザ
定員
50名先着
主催
札幌国際げいじゅつさい実行委員会札幌市
協力
在日スイス大使館 / 藝術と技術の対話DAT
  • 1 登壇者追加となったため終了時間が16時から16時30分に変更となりました

お申し込み

事前申し込みは締め切りました
直接 会場にお越しください

  • 開催言語は日本語となります 英語話者による発言には逐次通訳が入ります

登壇者

fragmentin

fragmentin フラグメンティン

メディアアートコレクティブ / SIAF2027参加アーティスト

fragmentinは、メディアアートの国際的なコンペティション「プリ・アルスエレクトロニカ」での受賞でも注目を集めるスイスの3人組【David COLOMBINI(ダヴィッド・コロンビニ)、Laura NIEDER(ローラ・ニーダー)、Marc DUBOIS(マルク・デュボワ)】アートコレクティブです。 ヨーロッパを中心に活動してきた彼らにとって、日本で初めての作品展示の場がSIAF2027となります。 fragmentinは、在日スイス大使館の全面協力のもと、今年3月にモエレ沼公園でリサーチを実施し、SIAF2027に向けて新作を制作する予定です。 3月7日(土)のオープントーク には、Marc DUBOISとLaura NIEDERの2名が登壇します。

藤幡正樹

藤幡正樹 FUJIHATA Masaki

メディアアーティスト/ DATエグゼクティブ・ディレクター

日本のメディアアートのパイオニア。80年代はコンピュータ・グラフィックス、90年代はインタラクティブアートやネットワークをテーマにした作品を制作。その後、GPSを使ったフィールドワークシリーズを展開。現在は、ARを扱ったBeHereを継続中。1996年、アルス・エレクトロニカ(リンツ、オーストリア)で日本人初のゴールデン・ニカ賞を受賞、2010年文化庁「芸術選奨」文部科学大臣賞、1989年から慶應義塾大学環境情報学部、1999年東京藝術大学、2005年大学院映像研究科の設立に参加。東京藝術大学名誉教授。2017年はオーストリアのリンツ美術大学、2018年は香港バプティスト大学、2020年はUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の客員教授。

藝術と技術の対話(DAT)

SIAF2027オフィシャル・パートナー

藝術と技術の対話(DAT) Dialogue on Art and Technology (DAT)

「藝術と技術の対話(DAT)」は、メディアアートやデジタルアート等のアート&テクノロジー分野の専門家育成を目的としたプロジェクトです。講座・調査研究から展覧会の実現までを目指す総合的な育成プロジェクトとして2025年11月にスタートし、現在7回に渡るオンラインレクチャーシリーズが実施されています。同プロジェクトはSIAF2027オフィシャル・パートナーとして、レクチャーシリーズを経た育成対象者の成果をモエレ沼公園で発表します。

主催・企画制作:株式会社イッカク
助成:文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター等支援事業(育成プログラム構築・実践))
独立行政法人日本芸術文化振興会

文化芸術活動基盤強化基金ロゴ

中里唯馬

中里唯馬 NAKAZATO Yuima

ファッションデザイナー / SIAF2027参加アーティスト

1985年生まれ。2008年、ベルギー・アントワープ王立芸術アカデミーファッション科を卒業。 2016年7月にはパリ・オートクチュール・ファッションウィーク公式ゲストデザイナーの1人に選ばれ、現在に至るまで日本人で唯一、パリ・オートクチュール・ファッションウィークにてコレクションを発表し続けている。近年では、単独回顧展‟BEYOND COUTURE”がフランスの公立美術館であるカレー・レース・ファッション美術館にて開催された。 アメリカのボストン・バレエ団やスイスのジュネーブ国立劇場などで行われるオペラやバレエ等、舞台芸術の衣装デザインを行う。また、自らが発起人となり、未来を担う次世代のクリエイターのためのファッション・アワードFASHION FRONTIER PROGRAMを創設。

司会細川麻沙美サイアフ2027フェスティバルディレクター