「世界最先端のアニメーション作品に出合う!~アルスエレクトロニカ・アニメーションフェスティバル2020 オン・ツアー in NHK札幌~」を開催しました!
前回のブログで、次回SIAFのディレクターに就任した小川秀明さんが、雪の中、2月の札幌を視察した様子をご紹介しましたが、小川さんは普段オーストリア・リンツ市を拠点に活動されています。
リンツ市は、アートとテクノロジーの世界的な文化機関 アルスエレクトロニカのある都市として世界的に知られていて、小川さんはこの機関に長年携わっています。ですが、「初めて耳にする名前」という方もたくさんいるはず!ということで、小川ディレクター就任を記念して、アルスエレクトロニカが世界に巡回している上映プログラムの札幌開催をNHK札幌拠点放送局とSIAFの共催で企画しました。それが2月23日に開催した「世界最先端のアニメーション作品に出合う!~アルスエレクトロニカ・アニメーションフェスティバル2020 オン・ツアー in NHK札幌~」です。
アルスエレクトロニカでは、最先端の技術を活用したアート作品が集まる国際コンペティション”プリ・アルスエレクトロニカ”を毎年開催しており、「コンピュータアニメーション」はその応募カテゴリーのひとつです。数千もの応募作品の中から、専門家の審査によって選ばれた受賞作品は、世界最大規模のメディアアートフェスティバル"アルスエレクトロニカ・フェスティバル"において紹介されています。
今回のプログラムでは、プリ・アルスエレクトロニカ2020で選ばれ、フェスティバルで上映された8つの作品を上映しました。
会場となったのは、2021年に新しい放送会館に移転したNHK札幌拠点放送局。放送局内には8K公開スタジオがあり、今回はそこに設置された280インチの大型ビジョンでの上映でした。見応え抜群!
photo:Noriko Takuma
ストーリーや台詞などの要素がなく、思わず「これはアニメーションなの!?」と感じるような作品も登場するため、今回は強力な助っ人をゲストにお迎えしました。新千歳空港国際アニメーション映画祭でチーフディレクターを務める小野朋子さんです(同映画祭、そして小野さんには昨年も大変お世話になりました。この件については2021年11月のこちらのブログをぜひご覧ください)。
アニメーションの幅広い表現に造詣が深く、かつ軽快なトークを繰り広げる小野さんの解説があれば、怖いものなし!作品上映を3つのパートに分け、各上映パートの前後に小野さんによる作品解説をはさみながら、全8作品を味わいました。
「ストーリーがない・・・でもなんとか理解しなければ!」と身構えてしまうような作品も、「音楽のリズムとビジュアルがスタイリッシュに融合した作品なので、ミュージックビデオを観るような気分で楽しんでください」「遠近法の歪みによってトリップ効果があるので、都市空間の新しい体験として巻き込まれてみてください」など、小野さんのコメントのおかげで少しリラックスして鑑賞できた方も多かったのではないでしょうか。作品の注目ポイントや制作の手法なども、わかりやすく解説していただきました。
テーマ、視点、手法もそれぞれ異なる8作品を鑑賞し、プログラムの最後には参加者のみなさんに「一番気になった作品」を挙手で伺いました。バラエティに富んだセレクションだけに、得票数はばらけましたが、今回のイベントで一番票を集めたのはMaja Gehrigさん(スイス)の作品《Average Happiness》でした。
こちらの作品を含め、Vimeoなどでトレーラーが見られる作品も多いので、興味のある方は下記上映作品タイトルをぜひ検索してみてください。
参加者のみなさんにとっては、「アニメーション」「アニメ」という言葉で思い浮かべるイメージとは少し異なる映像作品との出合いの場になったかもしれません。今後もSIAFでは、世界がちょっと広がるようなプログラムを企画していければと考えています。雪が降りしきる中、会場まで足を運んでくださったみなさん、どうもありがとうございました!
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上映作品
《Infinitely Yours》(ライブパフォーマンスからの抜粋映像) [09:03] ゴールデン・ニカ(大賞)
制作・アニメーション・出演:Miwa Matreyek (米国)
音楽:Morgan Sorne (米国)
《Average Happiness》[07:03] 優秀賞
Maja Gehrig (スイス)
《Bab Sebta》[19:00] 優秀賞
Randa Maroufi (モロッコ/フランス)
《Pile》[03:23] 奨励賞
Toby Auberg (スウェーデン)
《Recursive Truth》[02:55] 奨励賞
Rachel Rossin (米国)
《Serial Parallels》[09:00] 奨励賞
Max Hattler (ドイツ/香港)
《Bodyless》(VR作品の画面を上映用に編集したもの)[05:00] 奨励賞
Hsin-Chien Huang (台湾)
《#21xoxo》[09:50] 奨励賞
Sine Özbilge (トルコ), Imge Özbilge (トルコ)
【開催概要】
札幌国際芸術祭2023-24 プレイベント上映会
世界最先端のアニメーション作品に出合う!〜アルスエレクトロニカ・アニメーションフェスティバル2020 オン・ツアー in NHK札幌〜
主催:札幌国際芸術祭実行委員会、札幌市、NHK札幌拠点放送局
協力:アルスエレクトロニカ 、オーストリア文化フォーラム
日時:2022年2月23日(水・祝)
1回目:11:00-12:45(開場10:30)
2回目:14:30–16:15(開場14:00)※上映内容は各回同じ
会場:NHK札幌拠点放送局 8K公開スタジオ(札幌市中央区北1条西9丁目1-5)
ゲスト:小野朋子(新千歳空港国際アニメーション映画祭 チーフディレクター)
定員:各回50名(要事前申込・先着)・参加無料