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2025.10.16

令和7年度SIAFスクール出前授業がスタートしました! ~「自分だけのモンスターをつくってみよう!」編~

芸術祭を「未来の学校」と捉え、発見や体験、学びを提供する場として札幌市内の小中学校にて令和5年度より展開している「SIAFスクール」の出前授業。

今年度の出前授業では、初年度から実施している「プログラミングでアートにチャレンジ!」に加え、株式会社ワコムと共同で企画したプログラム「自分だけのモンスターをつくってみよう!」を初めて実施します。

株式会社ワコムは、SIAF2024のイニシアティブ・パートナーとして、未来劇場での展示や札幌芸術の森美術館でのワークショップを実施してきました。今回の出前授業はその成果を踏まえ、SIAFとワコムが継続的な連携と教育現場での実践をめざし、実現したものです。(昨年度の教育喫茶にて実施されたワークショップの様子はこちら

 

この記事では、そんな出前授業「自分だけのモンスターをつくってみよう!」の様子をお届けします。

(「プログラミングでアートにチャレンジ!」の初回の様子はこちら

このプログラムは、ワコムが開発した最新のペンタブレットを使い、カードに描かれたイラストをヒントに発想を広げながらオリジナルのモンスターを創作するアイデアワークです。アニメや映画制作などプロの現場でも使われているデジタル機材を体験しながら、新しい発想や多様な視点を学ぶことができます。

 

初回となったのは9月8日(月)、中央小学校6年生の図工の授業です。

緊張しながらも、ワクワクした面持ちで多目的室にやって来た児童のみなさん。机の上に並んだ見慣れないタブレットに興味津々の様子でした。


授業はSIAFスタッフによる札幌国際芸術祭の紹介からスタート。

 


続いて、今回のプログラムの講師を務める株式会社ワコムの淺田 一氏(写真右)と川瀬寛人氏(写真左)が登場しました。小学校での出前授業はワコムにとっても初めての試みとのことで、お二人ともこの日をとても楽しみにしていたそうです。

始めに、ワコムのペンタブレットやペンがどのような場面で活用されているかが紹介されました。プロのイラストレーターや漫画家だけでなく、消防局のオペレーター現場など幅広い分野で活用されているペンタブレット。普段親しんでいるアニメやゲームの制作に使われる機材を前に、児童のみなさんは目を輝かせながら話に聞き入っていました。

 


実際にペンを手に取ると、その軽さに驚きます。淺田さんによると、ワコムのペンの特長は、充電や電池交換が不要で、鉛筆のように軽く滑らかな描き心地であることです。その秘密はペンに内蔵されたコイルと圧力センサー。コイルは電磁誘導のはたらきでペンの位置や傾きを正確に把握し、圧力センサーは指先から伝わる繊細な力加減をとらえることで線の太さや濃淡を美しく表現することができるそうです。

ワコムは電磁誘導のしくみをデジタルペンと組み合わせ、高性能なペンタブレットを発明したとのことです。それと同じように、児童のみなさんにも、別々のものを独自の発想で自由に組み合わせ、全く新しいもの(=モンスター)を生み出してほしい!という言葉で前半のレクチャーは締めくくられ、いよいよ制作開始です。

 


ルールはとっても簡単。ランダムで配られたカードに描かれたイラストをモチーフに、始めにモンスターの「体」を描きます。その後「頭」、「手足」、「装飾」と各パーツごとにカードを配りなおしてモンスターを描いていきます。最後に顔や背景などを自由につけ足して完成です。

 


練習用に用意されたカードのお題は食べ物でした。制限時間は各パーツたったの1分。「難しいカードを引いちゃった!」「時間が足りない!」など、あちこちから賑やかな声が上がります。

そうしてできあがったユニークなモンスターを友達同士で見せ合ったり、面白い組み合わせを発見したりと、あっという間に教室は大盛り上がり。夢中になって休み時間も絵を描き続ける人が続出するほどでした。

 


そしてつづく本番では、なんとお題のカードから自分たちで作ります。今回のテーマは「北海道といえば?」

 


自分たちで作ったカードをグループ内で混ぜ合わせ、そこから引いたカードで2体目のモンスターを創作します。

練習の時よりもカードの種類が少なく、同じカードを引いてしまうこともしばしば。自由な発想が試されます。

 


さらに、本番のモンスターには色や装飾、背景をつけたりして、より完成度を高めていきます。

普段はあまり聞き馴染みのない「レイヤー」というデジタルイラストならではの機能も、児童のみなさんは感覚的に理解し、あっという間に使いこなしていました。

 


カードを引くときは大騒ぎだったのに、描き始めると一瞬で静まり返る教室。ワコムのお二人や先生方も驚くほどの集中力で、真剣に作品制作に取り組んでいました。

完成したモンスターはどれも個性豊かで、偶然の組み合わせから生まれた面白い作品を、みなさんとても楽しんでいる様子でした。

 

授業の最後には、「絵はあまり得意じゃないけど楽しかった」「普段できない体験ができてよかった」といった嬉しい感想が聞かれました。授業後のアンケートでも、「またやりたい!」「絵を描くのが好きになった」という声がたくさん!

初めてのプログラムでしたが、想像を上回る児童のみなさんの反応に、SIAFスタッフも嬉しい気持ちでいっぱいです。

 


今後もSIAFスクールの出前授業は各学校で順次実施していきます。本プログラムで制作されたみなさんの作品は、「プログラミングでアートにチャレンジ!」での成果と併せて、今後お披露目する機会を設ける予定です。詳細は決まり次第ウェブサイト等でお知らせしますので、ぜひご期待ください!

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