ディレクターチーム

天野 太郎の写真
撮影:金川 晋吾
企画ディレクター(現代アート担当)/統括ディレクター

天野 太郎Taro Amano

横浜市民ギャラリーあざみ野主席学芸員。多摩美術大学、女子美術大学、国土舘大学、城西国際大学の非常勤講師。美術評論家連盟所属。北海道立近代美術館勤務を経て、1987年の横浜美術館開設準備室より同館で国内外における数々の展覧会企画に携わる。「横浜トリエンナ一レ2005」でキュレーター(2011年、2014年はキュレトリアル・ヘッド)を務めたほか、横浜美術館、市民ギャラリーあざみ野での担当展覧会に、「戦後日本の前衛美術」(1994年)、「ルイーズ・ブルジョワ」(1997年)、「奈良美智I DON'T MIND, IF YOU FORGET ME.」(2001年)、「ノンセクト・ラディカル 現代の写真III」(2004年)、「金氏徹平:溶け出す都市、空白の森」(2009年)、「考えたときには、もうHの前にはない 石川竜一」(2016年)、「新井卓Bright was the Morning一ある明るい朝に」(2017年)、「金川晋吾長い間」(2018年)など多数。

メッセージ

このたび、札幌国際芸術祭2020の統括ディレクター兼企画ディレクター(現代アート担当)を拝命いたしました天野 太郎です。現在は横浜市にある横浜市民ギャラリーあざみ野で主席学芸員を務めておりますが、1982年から1987年まで北海道立近代美術館の学芸員として奉職し、ここ札幌で美術館学芸員のキャリアをスタートさせました。その後、横浜美術館の開設準備室へ移り現在に至っております。学芸員生活の最後に私にとっては第二の故郷とでも呼ぶべき札幌でこのようなスケールの大きな事業に携われるのは大きな喜びでもあります。今回は、これまでの実績を継承しながら、札幌、北海道の豊かな人材や関係機関とのつながりを緊密に築き、その歴史性、地域性を掘り下げながら実りある国際展を実現させたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

アグニエシュカ・クビツカ=ジェドシェツカの写真
Photo by Zbigniew Kupisz
企画ディレクター(メディアアート担当)

アグニエシュカ・クビツカ=ジェドシェツカAgnieszka Kubicka-Dzieduszycka

メディアアートキュレーター、プロジェクトマネージャー、大学講師。ヴロツワフ大学卒業後、1994年から現WROメディアアートセンター財団の一員となる。以来、ポーランドのメディアアート界を牽引する国際イベント「WROメディアアートビエンナ一レ」に過去13回にわたり携わる。2008年のWROアートセンター設立時より、プログラムの共同開発、国際連携プロジェクト、アート・メディエーションに携わる。欧州連合(EU)出資プロジェクトの企画運営も経験。近年の主な企画に、「Art Ii Biennial 2018」(フィンランド)におけるポーランド関連プログラムのほか、ウクライナ、スウェーデン、日本、ドイツ、イスラエルでの展覧会、ワークショップ、上映などがある。2016年から2017年にかけてWROアートセンターで開催された日本のメディアアート展「Reversible//lrreversible//Presence」に携わるなど、日本のメディアアーティストとの関わりも多い。

メッセージ

このたび、ディレクターチーム、実行委員会の皆さんとともにSIAF2020に携われることを大変光栄に思います。私は20年以上にわたり、メディアアートフェスティバルやアートセンターで日々の運営に携わってきました。 SIAF2020では、この経験が十分に生かせるものと確信しています。私は現代の自然と文化が一体化した科学技術社会を背景とした誰もが参加できる包括的な参加型活動に関心があり、それを企両に生かしたいと考えています。制作過程において豊かなコラボレーションを生み出すということが、メディアアートの特徴の一つと言えます。また、広範な社会課題への関心を喚起するような批評性を持った手段にもなり得るものだと感じています。そのため、メディアアートには感情的・知的な議論を引き起こしたり、多様な越境や変化をもたらしたりする力があると私は信じています。加速する社会のデジタル化は複雑な問題を生み出し、私たちの生活や価値観は変化し続けています。私たちを取り巻く状況のあらゆる側面で、メディアアートは全く新しいアプローチを投げかけてくれると実感しています。札幌という地域の固有性を世界に結び合せるような、魅力的で遊び心のある展覧会を皆さんとともに作り上げたいと思います。

田村 かのこの写真
撮影:加藤 甫
コミュニケーションデザインディレクター

田村 かのこKanoko Tamura

1985年東京都生まれ、東京都在住。アートを専門とする通訳・翻訳者の活動団体「Art Translators Collective」主宰。日英の通訳・翻訳、編集・広報など幅広く活動しながら、あらゆるものの間に立つメディエーター(媒介者)として、クリエイティブなコミュニケーションと翻訳の可能性を探る。主要な美術館、ギャラリー、国際芸術祭、演劇・舞台芸術プログラムでのトーク通訳やアーティストのアテンドを担当するだけではなく、それぞれの場と内容に応じて最適な対話のあり方をコーディネートするトランスレーション・ディレクターとしても活動。非常勤講師を務める東京藝術大学大学院美術研究科グローバルアートプラクティス専攻では、アーティストのための英語とコミュニケーションの授業を担当している。2008年タフツ大学工学部土木建築科(米国)卒業、2013年東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業。NPO法人芸術公社所属。

メッセージ

生後3カ月の頃から毎年訪れている母の故郷、北海道で、芸術祭とコミュニケーションのあり方について皆さんと考える機会をいただきましたこと、心より感謝いたします。通訳者が芸術祭のディレクターに?と驚く方もいるかもしれません。しかし私の目指す広義の「翻訳」とは、ただ言葉を変換するだけでなく、話者(表現者)の思いと、受け取る側の立場や状況、そのどちらにも心を寄せ、あいだをつなぐための柔軟な思考の実践を続けることです。誰もが世界に向けて発信できるこの時代、鑑賞者に一方的に作品を提示するだけの芸術祭では意味がありません。芸術を通じて表現されるさまざまな視点やアイデアを、社会や生活に生かしていくための仕組みや議論の場が必要です。そんな対話のためのプラットフォームを、皆さんのお知恵をお借りしながら、丁寧に実現していきたいと思います。


キュレトリアルアドバイザー

上遠野 敏の写真
Illustration by Daichi Wako

上遠野 敏Satoshi Katono

札幌市在住。美術家。東京芸術大学、大学院修了。札幌市立大学、大学院で教授。2004年から空知産炭地域の炭鉱遺産を活用したアートプロジェクト「奔別アートプロジェクト2014」などのアートディレクター兼作家として地域活性化に取り組んでいる。「ネ・申・イ・ム・光景」シリーズとして日本全国の神仏の現れを撮影した写真作品にも取り組んでいる。主な展覧会に、「北日本の5人作家達」(ハンブルク総合芸術館カンプナーゲル、ドイル、2001年)、「Interaction」相互作用(エルンスト・バーラッハ美術館、ドイツ、2005年)、「夕張清水沢アートプロジェクト」(旧北炭清水沢火力発電所跡、2011年)、「Distant Observations Fukushima in Berlin」(ドイツ・クンストラウム・クロイツペルク[ドイツ]、2014年)など。

ヨアシャ・クルイサの写真
Photo by Kim Haugaard

ヨアシャ・クルイサJoasia Krysa

リバプール・ジョン・ムーア大学エキシビション・リサーチ教授。キュレーター。リバプール・ビエンナーレにも関わる。デンマークのクンストハル・オーフス芸術監督、ドクメンタ13キュレトリアル・チーム、リバプール・ビエンナーレ2016コ・キュレーターを歴任。近年担当した企画・展覧会に、ホイットニー美術館のオンラインコミッションプロジェクト「Artport」、「リバプール・ビエンナーレ」(2018年、2020年)など。出版物(編書)として、『Systemics (or Exhibition as a Series)』(Sternberg Press、2017年)、『Write and Unwriting (Media) Art History』(MIT Press、2015年)。『DATA Browser』(Open Humanities Press、ロンドン)シリーズ編集者、オンラインジャーナル『Stages』(リバプール・ビエンナーレ)のコミッショニング・エディター。現在、ヘルシンキ・ビエンナーレ2020の国際アドバイザーも務める。


キュレーター

佐藤 康平の写真
撮影:詫間のり子

札幌芸術の森担当

佐藤 康平Kohei Sato

札幌芸術の森美術館事業係長。2011年より同館に勤務し、SIAF2014連携企画「Sprouting Garden―萌ゆる森―」、「札幌美術展 旅は目的地につくまでがおもしろい」など、北海道・札幌の美術家を紹介する展覧会や、「ほっかいどう大マンガ展」などマンガ・アニメ・サブカルチャー関連の展覧会を担当する。2017年より一般財団法人地域創造での勤務を経て、2019年より現職。

中村 聖司の写真
 

北海道立近代美術館・mima 北海道立三岸好太郎美術館担当

中村 聖司Seiji Nakamura

北海道立釧路芸術館学芸主幹。1987年から道立近代美術館学芸員として勤務。2009年、道立旭川美術館学芸課長時に、市民との協働による「あべ弘士 動物交響楽」展を実施。2010年、道立近代美術館学芸第三課長となり、コレクションによるさまざまな展示を企画。2016年、mima 三岸好太郎美術館副館長として、施設と企画のリニューアルを担当。その他、「ウルトラマン・アート!」、「ゴジラ展」、「こどものための三岸好太郎展」、「夢魔とポエジイ」等を企画。

マグダレナ・クレイスの写真
Photo by Jerzy Wypych

アートメディエーション担当

マグダレナ・クレイスMagdalena Kreis

ポーランド在住。アートメディエイター、エデュケーションプロジェクトキュレーター。2010年より、ポーランド国内の文化施設と連携しながら、現代アートの領域の中で、共有・共感・体験をベースとするワークショップ、展覧会、プロジェクトに携わる。2013年からWROアートセンターのキュレトリアルチームの一員として、鑑賞者志向型プロジェクトの企画開発を担当。

宮井 和美の写真
 

モエレ沼公園担当

宮井 和美Kazumi Miyai

2001年金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科芸術学専攻卒業。2003年から現職。公園という開かれた場での創造活動の可能性を探る。これまで企画、担当した主な展覧会・アートプロジェクトに「進藤冬華 移住の子」(2019)、「札幌国際芸術祭2017 RE/ PLAY/ SCAPE」(2017)、「ひかりの連鎖」(2016)、「吉田夏奈 プルメリアに映る雪」(2015)、「想像の山脈」(2015)、「狩野哲郎 あいまいな地図、明確なテリトリー」(2013)、「佐々木秀明 Droplets Garden」(2013)、「Walking 歩行という経験」(2011)、「SNOWSCAPE MOERE」(2005-2012)などがある。


アイヌ文化コーディネーター

マユンキキの写真
Photo by Hiroshi Ikeda

マユンキキMayunkiki

北海道旭川市出身。札幌市在住。アイヌの伝統歌「ウポポ」の再生と伝承をテーマに活動する女性ヴォーカルグループ「マレウレウ」のメンバー。さまざまなリズムパターンで構成される、天然トランスな感覚が特徴の輪唱など、アイヌがルーツとなるウポポを忠実に再現するアーティスト。近年はアイヌの伝統的な刺青「シヌイェ」に関するインタビューを行いながら、リサーチに取り組んでいる。アドバイザー、歌い手として、アイヌ文化関連プロジェクトに参加。アイヌ語講師としても活躍。


アートディレクター&デザイナー

ワビサビの写真
Photo by Shusaku Nagahama

ワビサビWABISABI

1999年、工藤“ワビ”良平と中西“サビ”一志によって結成されたデザインコンビ。アドバタイジングから、グラフィックデザイン、アートワーク、映像、音楽、インテリア、ファッションまで多方面での制作活動を行っている。ワビの主宰する“デザ院株式会社”所属。JAGDA・日本グラフィックデザイナー協会理事、SADC・札幌アートディレクターズクラブ運営委員。85TH ニューヨークADC AWARDS銀賞、MERIT賞、INTERNATIONAL POSTER TRIENNIAL IN TOYAMA 2006金賞、TAIPEI INTERNATIONAL POSTER FESTIVAL銅賞、INTERNATIONAL POSTER AND GRAPHIC ARTS FESTIVAL OF CHAUMONT入選、LAHTI XVI POSTER BIENNALE入選、D&AD FACE TO WATCH 2009、JAGDA新人賞 2005、第1回東京ミッドタウンアワード準グランプリ、札幌ADCグランプリ、準グランプリ他受賞多数。


アドバイザリーボード

WROアートセンターディレクター

ヴィオレッタ・クトゥルバシス=クラジュースカVioletta Kutlubasis-Krajewska


ブリティッシュ・コロンビア大学教授/UBC人類学博物館館長

アンソニー・シェルトンAnthony Shelton


京都大学ここのろ未来研究センター特定教授

吉岡 洋Hiroshi Yoshioka