札幌×東京 ライブコーディングサミットを開催しました!
撮影:詫間 のり子
2018年11月15日(木)、多摩美術大学とSIAFラボの主催による「札幌×東京ライブコーディングサミット」を開催しました。
このイベントでは、SIAF2017のARTSAT×SIAFLabプロジェクトや6月に開催した夏至祭でもパフォーマンス・作品展示で活用された「ライブコーディング」というプログラミングの手法を用いたイベントです。
夏至祭 in モエレ沼公園
今回は、札幌の会場と東京の多摩美術大学をインターネット中継でつなげ、さらに東京会場ではライブコーディングの世界で著名なAlex MacLeanさんをイギリスから迎えるなど、普段のSIAFのイベントとはまた少し違った雰囲気のイベントとなりました。
ライブコーディングってなに?
イベントの冒頭では、東京会場からSIAFラボのプロジェクトリーダーでもある久保田先生(多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース教授)と多摩美術大学にてライブコーディングの研究により博士号を取得したレニック・ベルさんによる「ライブコーディングとは何か」についての解説がありました。
詳しい説明は、当日会場に来ていただいた方ならAlexさんのパフォーマンスとともにその面白さが体感していただけたと思うのですが、簡単に説明するとライブコーディングとは、普段システムなどを作ったりする「プログラミング」を、まるで楽器のように操作してリアルタイムに音楽を奏でていく行為を指します。
コンピュータと音楽の関係性といえば、デスクトップミュージック(Desk Top Music - 通称DTM)などと言った単語は頭に浮かぶ方も多いと思いますが、DTMはコンピュータ上で楽譜に音符を並べて、その音符にどのような音色をつけるか決めて、そして完成したものを流す過程になります。
ライブコーディングは上記でも説明したように、その場その場でプログラムを追加したり変更したりして鳴る音階や音色を変えていき、そのプログラムコードの変遷が会場に映し出されるため、見る側も通常の音楽ライブと同じような臨場感を体験することができます。
近年、Alexさんが開発したライブコーディングのためのプログラム言語「TydalCycles(タイダル サイクルズ)」のほか、SIAFラボがこれまでワークショップで扱ってきた「Sonic Pi(ソニックパイ)※1」など、様々なライブコーディングが可能な環境がそろってきたこともあり、海外をはじめ、日本でもライブコーディングの文化が生まれ始めています。
※1.SonicPiとは...
ケンブリッジ大学のサム・アーロン博士が中心となり開発されているソフトウエアで、プログラミングを楽しみながら音楽を作ることができます。
SonicPi×SIAFラボ
[参考]AlexさんによるTEDxHullでのライブコーディングの解説
久保田先生の解説では、実際にAlexさんによる簡単なプログラムで音を奏でたりなど、ライブコーディングの初めの一歩という話をしていただきました。
SIAFラボの取り組み紹介
イベントの中盤では、SIAF2017でのARTSAT×SIAFLabプロジェクトの紹介やSonicPiを使ったワークショップ、冬のツララに関する活動など、SIAFラボのこれまでの取り組みの紹介をしました。
東京会場の参加者やAlexさんからの質問に答えるなど、SIAFやSIAFラボの取り組みを紹介することができました。
札幌×東京の遠隔でライブコーディングセッション!
イベント後半はお待ちかね、東京会場のAlexさんとSIAFラボによる遠隔ライブコーディングセッションが実施されました。
SIAFラボからは、ARTSAT×SIAFlabプロジェクトでライブコーディングの技術サポートを担当したテクニカルフェローの金井謙一さんを中心に、Alexさんが用意した画面上に札幌会場から接続し、TydalCycles言語をお互い記述しながらコードによって音楽を協奏し、一夜限りのライブセッションを楽しみました。
また、イベントの最後には、Alexさんによるソロライブコーディングのパフォーマンスも。目で追うのが大変なくらい、画面に映るプログラムが刻々と変わっていき、それに応じてどんどん音色が重なり一つの音楽になっていく様子は圧巻でした。
パフォーマンスの終了後には大きな拍手とともに、普段なかなか体験することができないライブコーディングの世界を体感できた瞬間でした。
今後も、SIAFラボでは継続してライブコーディングに触れることができる機会を作っていきたいと思いますので、残念ながら今回は参加することができなかった!という方は、ぜひ次回参加してみてください。
※このイベントはライブコーディングの音楽イベント、「algorave tokyo」の一環として開催されました。
SIAFラボ プロジェクトディレクター 船戸 大輔