SIAF2027キックオフカンファレンスを開催しました(第2部)
第2部 ここから始動!札幌国際芸術祭2027 最新情報トークセッション
※第1部についてはこちらをご覧ください。
2025年6月20日(金)、2027年1月~2月に開催予定の札幌国際芸術祭(SIAF)2027に向けたキックオフカンファレンス(2部制)を開催しました。今回は第2部の様子をお届けします。
本イベントの様子はこちら(SIAF公式YouTube)で公開しています。来られなかった方も、ぜひご視聴ください。
第2部では「ここから始動!SIAF2027 最新情報トークセッション」と題し、SIAFが重視してきた「市民参加」のこれまでとこれからについて、ディレクターチームとゲストによるトークを実施しました。
○SIAF2027ディレクターチーム
(左から)
スクールディレクター 漆 崇博(うるし・たかひろ)
クリエイティブディレクター 小川秀明(おがわ・ひであき)
スタジオディレクター 丸田知明(まるた・ともあき)
フェスティバルディレクター 細川麻沙美(ほそかわ・あさみ)
⚪︎SIAFディレクターによる「市民参加」のあり方
第2部の冒頭では、第1部に続いてディレクターチームが登壇。SIAF2024からの継続的な取組として、市民がSIAFに主体的に関わることの意味や今後の展望をそれぞれの立場から語りました。
小川ディレクター:
作品の鑑賞に留まらず、一歩踏み出して考え、動いてみる。そんな体験ができる機会をSIAFは提供したいと考えています。今の時代にふさわしい市民参加のあり方を探りたいです。
細川ディレクター:
「みてもらうこと」が市民参加の第一歩です。SIAF2024では、来場者向けのガイドツアーの他にも、筆談鑑賞ワークショップや手話での作品ガイド、視覚障がいのある方への案内を実施しました。SIAF2027でも継続してこうした場をつくっていきたいです。
丸田ディレクター:
現場を支える施工業者、協賛企業、イニシアティブ・パートナーの皆さんも、市民参加の大切な担い手です。また、SIAF2024から始まった、札幌で文化芸術に取り組む団体と連携するプログラム「みんなでウパシテ!! 」も引き続き実施したいと考えています。
漆ディレクター:
初回のSIAF2014から市民参加の仕組みを模索してきました。SIAF2024では、芸術祭を「学校」と見立て、みる側から参加する側へ。参加する側からつくる側へとつながる仕組み「SIAFスクール」を展開しました。芸術祭のテーマを学ぶレクチャーシリーズ、小中学校での「出前授業」、先生・研究者との長期的な連携の場としての「教育喫茶」、そして来場者と作品をつなぐ「ふむふむプロジェクト」が始動しました。
SIAF2024以降もSIAFスクールは「出前授業」、「教育喫茶」、「ふむふむプロジェクト」の3本柱で活動を継続しており、SIAF2027に向けてさらに拡張していきます。
⚪︎ふむふむプロジェクトの実践
ふむふむプロジェクトには、誰でも参加できる「サポーター(案内役)」と研修を受けて来場者に作品解説を行う「鑑賞ガイド」の役割があります。SIAF2024では約200名が参加し、会場で活躍しました。
トーク後半では、この「ふむふむプロジェクト」の実例として、運営事務局を担ったNPO法人ezorock代表の草野竹史さん、ふむふむサポーターの川本沙耶さんが登壇。活動の実体験や魅力を語りました。
NPO法人ezorock代表の草野竹史さん
草野さん:
SIAF事務局と「どうすれば色々な人がSIAFに参加できるのか」を一緒に考えてきました。アートに無縁だった私自身も、関わる中で引き込まれていきました。
ふむふむサポーターの川本沙耶さん
川本さん:
北海道大学農学部4年生です。SIAF2024にふむふむサポーターとして参加し、2025年2月のSIAF2027プレイベントではふむふむガイドにも挑戦しました。
⚪︎ふむふむプロジェクトの魅力
草野さん:
ふむふむプロジェクトは、来場者と一緒に「なるほど、ふむふむ」をつくる場です。その中でサポーターの役目は、来場者の方と芸術祭をつなげること。主催者でも来場者でもある、絶妙な立ち位置です。
川本さん:
参加のきっかけは、大学の授業で紹介があり、興味を持ったことです。参加者は芸術に詳しくない方も多く、年齢層も学生から社会人、年配の方まで幅広く、色々な人に出会える場でした。
活動の中では来場者に何か”教える”のではなく、「一緒に楽しむこと」を大切にしました。
学生同士の交流だけでは得られない経験になりました。学生の皆さんにもぜひおすすめしたいです。
⚪︎他のボランティアとの違い
草野さん:
SIAFのふむふむサポーターは、会社員の参加が多いのが印象的です。また最近は、ボランティアに専門性が問われたり、年齢制限があるものが増えていますが、「誰でも歓迎」と明確に市民参加を打ち出しているSIAFの姿勢は非常に特徴的です。
小川ディレクター:
SIAFは新しいものに出合える場です。ふむふむプロジェクト参加者は未来志向のアートリテラシーを重要に感じてくれているように思います。AIの進展で、問いの立て方や情報の真偽を見極める力が重要になっています。そういう意味でSIAFスクールはまさに無料で学べる未来の学校とも言えると思います。
⚪︎SIAF2024で得たものと今後への期待
川本さん:
現代アートや芸術祭が身近に感じられ、仲間の頑張る姿にも刺激を受けました。芸術祭は「芸術を通したまちづくり」だと実感し、地域づくりに興味を持つようになりました。現在は地域づくりをテーマに卒業研究に取り組んでいます。
SIAF2024を経験した上で数年の時を経て迎えるSIAF2027は、また違った視点でチャレンジできると思います。
草野さん:
SIAFは本当に面白い場です。現代アートに距離を感じていた人ほど、その魅力に気づいたときの変化が大きいと思います。ふむふむプロジェクトをもっと広く知ってもらえるよう、私たちも努力していきたいです。
⚪︎おわりに
トークセッションは盛況の内に終了しました。SIAF2027に向けた気運が高まり、これからが楽しみになるようなスタートを切ることができました。ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。
SIAF2027に向けた取り組みは、これからますます本格化していきます。今後の札幌国際芸術祭にぜひご注目ください!
⚪︎ふむふむプロジェクト参加者募集中!
現在SIAFでは「ふむふむプロジェクト」の参加者を募集しています。詳しくはこちらのページをご覧ください。皆さんの参加をお待ちしています!
○イベント開催概要
札幌国際芸術祭2027 キックオフカンファレンス第2部|第2部:ここから始動!札幌国際芸術祭2027 最新情報トークセッション
日時:2025年6月20日(金)18:30〜20:00
会場:札幌市 図書・情報館1Fサロン(札幌市中央区北1条西1丁目 札幌市民交流プラザ)
○おまけ
イベントに合わせて、札幌市図書・情報館の司書の方々に、SIAF2027に関連した書籍のセレクトコーナーをご用意いただきました。これまでにSIAFが発行した書籍、宇宙やアートに関連する実用書など、魅力的なタイトルがずらり。
札幌市図書・情報館の皆さま、多大なご協力をありがとうございました!
※選書セレクトコーナーは現在終了しています。
SIAF2027キックオフカンファレンス 第1部のレポートはこちら