イベント
2025.07.11

SIAF2027キックオフカンファレンスを開催しました(第1部)

 
6月12日(木)にテーマとアドバイザーの就任を発表した札幌国際芸術祭(SIAF)2027。6月20日(金)、開催に向けた第一歩となるキックオフカンファレンス(2部制)を札幌市図書・情報館1階サロンで開催しました。今回は第1部「未来を共創する:企業×芸術祭の新たな実験」の様子をお届けします。
※第2部についてはこちらをご覧ください。

SIAF2027は前回のSIAF2024に引き続き、芸術祭を市民が参加できる未来の「実験の場」と位置づけ、企業とともに社会課題や新たなビジョンの探求に取り組んでいきたいと考えています。イベントでは「企業による芸術祭を通した価値創造」をテーマに、ディレクターチームがトークを行いました。
 

○SIAF2027ディレクターチーム
(左から)
スクールディレクター 漆 崇博(うるし・たかひろ)
クリエイティブディレクター 小川秀明(おがわ・ひであき)
スタジオディレクター 丸田知明(まるた・ともあき)
フェスティバルディレクター 細川麻沙美(ほそかわ・あさみ)
 
○SIAFの歩みとSIAF2027最新情報
まずは細川ディレクターが、初回のSIAF2014が開催されるまで、そしてSIAF2014からSIAF2024までの歩みを振り返りました。

10年にわたる試行錯誤や挑戦を重ね、SIAF2024では特に企業連携において大きな成果が生まれました。
SIAFの歴史はSIAF2024記録集「新しい芸術祭のつくり方 札幌国際芸術祭篇」に詳しく掲載しておりますので、こちらもぜひご覧ください。

続いて、6月12日(木)に解禁となったばかりのSIAF2027最新情報について小川ディレクターが紹介しました。

SIAF2027テーマ : PLANET SNOW プラネット・スノー  upas mintar ウパ ミンタ / upas nociw ウパ ノチウ

SIAF2027では札幌をひとつの星「PLANET SNOW」に見立てます。惑星という大きな観点から、人類とは何か、地球とは何か、宇宙とは何か、という壮大な物語を展開していきます。

今回のテーマはアイヌ語でも表記されており、ウパは雪、ミンタは庭、ノチウは星を意味します。イベント開催日にニュージーランドに滞在していた、アイヌ文化コーディネーターのマユンキキさんからは、「ニュージーランドのマオリ語※1のように、全てのものに日本語とアイヌ語が併記されるまでには時間がかかりますが、SIAFの姿勢がその一助となることを期待しています」とメッセージが寄せられました。

※1マオリ語…ニュージーランドの先住民族であるマオリ族の言語

そして、SIAF2027では新たに「アドバイザー」のポジションを設け、宇宙飛行士であり札幌市青少年科学館名誉館長の山崎直子さんを選任しました。山崎さんの宇宙飛行士としての経験や宇宙科学の知見が、テーマ「PLANET SNOW」とコラボレーションし、SIAF2027の企画につながっていきます。当日はなんと、ご本人がサプライズで登場!…とはなりませんでしたが、山崎さんからのメッセージ動画が放映され、会場の期待感が一層高まりました。


○創造エンジンとしてのSIAF2027について
次に、「創造エンジン」の実践について小川ディレクターが紹介しました。創造エンジン(Engine for Creativity)とは、SIAF2024の在り方を示したキーワードのひとつで、「未来志向を生み出す仕掛け」を意味します。
小川ディレクターが携わる世界的文化機関「アルスエレクトロニカ」では、企業との共創により、最新テクノロジーを活用したプロジェクトを多く展開しています。テクノロジーを軍事技術ではなく文化技術に変えられるかという観点から、芸術祭の役割は大きいといいます。SIAF2027の「創造エンジン」は、アーティストや市民と共に、未来を体験できる空間や、新しいアクションを生み出すことを目指します。

SIAF2024ではイニシアティブ・パートナー※28社と連携し、各会場でユニークな展示やプロジェクトを展開しました。
イニシアティブ・パートナーの取り組みは、SIAF2027でもさらにスケールアップして継続していきます。SIAF2027はまっさらな状態ですが、「大きなフレームでPLANET SNOWを展開させたい」と小川ディレクターは語ります。「どんな未来や風景を作りたいのか、PLANET SNOWでどんな実験を行いたいのか。思いついたこと、やってみたいことは是非お知らせください」と、来場者に対し参加を呼びかけました。

※2イニシアティブ・パートナー…自社の技術やノウハウを活用し、未来のテクノロジーや環境問題などを体験・想起できるアート作品やプロジェクトなどをともに作り上げていく企業のこと

小川ディレクターの話を受けて、ディレクターチームは下記のようにコメント。

細川ディレクター:
SIAF2024のメイン会場である未来劇場では、イニシアティブ・パートナー3社と協働した。企業との共創を通し、アート作品を展開するだけではなく、芸術祭の実験的な部分を広げられたと感じている。

漆ディレクター:
株式会社ワコムとの連携は「SIAFスクール」の継続プログラムにつながり、今年は市内の小中学校で出前授業を実施する。SIAF2027の会期など、どこかで子どもたちの成果をお披露目する機会を作りたい。

丸田ディレクター:
企業と共創するうえでは「どのような空間で、どのような体験が提供できるか」という場所性が重要となる。SIAF2027に向け、スタジオが各企業との調整役となり、SIAFと企業が協働できる場をつくっていきたい。

イベント終了後には30分程度の交流会が行われました。多くの参加者がディレクター陣や協賛担当と挨拶を交わし、賑やかな雰囲気のまま終了時間を迎えました。
 
○おわりに
今回の来場者アンケートでは、企業や団体による「文化芸術・アート分野」との連携・共創について意見を伺いました。
イニシアティブ・パートナーのように、企業・団体が文化芸術に携わる機会を「非常に重要」「ある程度重要」と考える意見が9割以上を占める一方、連携や共創の機会が「豊富にある」と感じる企業は1割程度に留まることが分かりました。サステナブルな芸術祭を目指すSIAFとしても、企業とより積極的に力を合わせ、つながりを広げていく必要性を改めて感じました。

企業の方々や市民の皆様に参加していただき、共創の空気感が立ち上がる、ワクワクするキックオフとなりました。ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。
ここからSIAF2027を盛り上げるべく、さらに準備を進めていきます。引き続き札幌国際芸術祭にご注目ください。

また、SIAFでは協賛に賛同していただける企業を大募集しております。広告への企業ロゴ掲載や、札幌市外の企業向けには企業版ふるさと納税の制度活用など、協賛いただくメリットもご用意しています。ご興味をお持ちの方はsupport@siaf.jp までご連絡ください。

協賛メニュー表はこちら


○イベント概要
タイトル:札幌国際芸術祭2027 キックオフカンファレンス第1部|未来を共創する:企業×芸術祭の新たな実験
日時:2025年6月20日(金)16:00〜17:30
会場:札幌市 図書・情報館1Fサロン(札幌市中央区北1条西1丁目 札幌市民交流プラザ)


○おまけ
札幌市図書・情報館の司書の方々に、イベントに合わせてSIAF2027に関連した書籍のセレクトコーナーをご用意いただきました。これまでにSIAFが発行した書籍、宇宙やアートに関連する実用書など、魅力的なタイトルがずらり。
札幌市図書・情報館の皆さま、多大なご協力をありがとうございました!
※選書セレクトコーナーは現在終了しています。

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