令和6年度第2回「教育喫茶」を開催しました!
イベント
2024.09.17

令和6年度第2回「教育喫茶」を開催しました!

7月19日(金)、令和6年度2回目となる教育喫茶を開催しました。
教育喫茶は、教育に関わる先生や学生、アーティストなどが集い、教育とアートに関する課題や可能性を話し合うコミュニティの場として2023年にスタートし、以来隔月ペースで実施しています。
今回のテーマは「未来の教育に必要なコミュニティとは!?」。このテーマのもと、前半は7組(8名)の先生による5分間ずつのライトニングトーク。現場での実践例を踏まえ、後半にはディスカッションを行いました。
学校の先生や、福祉の現場に関わる方など、会場とオンラインで計13名の方にご参加いただきました。

前半:ライトニングトーク

前半は、SIAF2024会期中に“STEAM”*をテーマに開催したイベント「教育喫茶特別編学校の先生Presents「STEAM STUDY DAY in SCARTS」(2月17日開催)に講師として登壇した先生方によるプレゼンテーションを行いました。1人につき5分間のライトニングトークで、それぞれの担当講座についてご紹介いただきました。
*STEAM…科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)。芸術・リベラルアーツ(Arts)、数学(Mathematics)の5つの領域を対象とした理数教育に創造性教育を加えた教育理念。教科を横断する学びの手法として注目されています。

大橋 剛先生(札幌市立大谷地小学校 教諭)
・チャレンジ!VRで雪像づくり
・かんたん!生成AIで動く雪だるまづくり

トップバッターの大橋先生は、イベント当日のプログラムを倍速(!)で再現。子どもから大人までメタバース空間を楽しむことができる事例や、「CANVA」や「styly」などのアプリケーションを活用した実践をご紹介いただきました。

佐藤 祈先生(岩見沢市立豊中学校 教諭)
・鑑賞をもっと楽しく

中学校で美術と技術の授業を担当されている佐藤祈先生。SIAF2024を「参加体験、連携、知る、遊ぶ、集める」の観点から振り返りました。また、タブレットを活用した取り組みやラジオ作りなど、普段の授業での実践についてもご紹介いただきました。

佐藤正範先生(北海道教育大学 未来の学び協創研究センター 特任講師)
・電気づくりから便利を考えてみよう
・ICT思考ツールを使った情報共有講座

教科書から飛び出して、物事の本質を学ぶ講座を目指しているという佐藤正範先生。私たちの身近にある電気がどうやって生まれるのかという問いを切り口に、実験を授業に取り入れた事例を紹介いただきました。また、「Miro」というアプリケーションを使い、教育現場で情報共有を行う際のポイントについてもご紹介いただきました。

澤田大輝先生(札幌南高等学校 教諭)
・アート思考をブロック遊びから考える

担当科目が英語でありながら、アート思考を取り入れているという澤田先生。学校外の現場では「色々な視点から物を見てみよう」というテーマで、レゴブロックを使ったワークショップを実施しているとのこと。ブロックを使った自己紹介など、大いに盛り上がるそうです。

中里彰吾先生(札幌市立中央小学校 教諭)
・マイコン制御体験「センサをつかって熱くなろう」
・マイコン制御体験「人とつながるプログラミング」

プログラミングでは「まあ、なんとかなる」の精神で試行錯誤を繰り返すことが大切と仰る中里先生のワークショップでは、トライアンドエラーを繰り返しながら、加速度センサを活用して縄跳びの回数を測ったそうです。またプレゼンテーションの最後には教育喫茶の取り組みを書籍化しては!?とのご提案もいただきました!

山口好和先生(北海道教育大学 准教授)
・マイコン制御体験「ミニラジコンを制御しよう」

山口先生の講座では、マイコンを組み込んだ昆虫型ロボットを参加者が操縦しました。予測不能な動きが生まれ、皆さん面白がっていたようです。また、描いた絵を回転させるアプリケーションを使ったワークショップも開催し、各々が描いた絵や写真を万華鏡のように変化させる様子が紹介されました。

藤川 香先生、北城勇太先生(札幌市立栄町小学校 教諭)

5年生で実践した「推しの木(こ)」プロジェクトについてご紹介いただきました。このプロジェクトは、前回の教育喫茶にご参加いただいたことをきっかけに、急遽立ち上がったものだそうです!
プロジェクトでは、札幌市博物館活動センターの山崎真実さんによる植物の授業や、滝野すずらん公園での植物の採取、「自分だけの木」を作るプログラミングなど、教科の垣根を越えた活動を実践。集大成として「推しの木展」を開催しました。子どもたちが主体的に活き活きと学ぶ様子が紹介されました。

後半:ディスカッション

それぞれの興味深い実践についてご紹介いただいたところで、後半のディスカッションに入ります。未来に必要な教育のコミュニティとは、教育喫茶は今後どうあるべきか、など参加者の皆さんで意見交換を行いました。
一部ですが、皆さんからいただいた意見を紹介します。

・幅広く専門的な話が色々聞けると面白いしありがたい。子どもたちの学習を面白くするための場として貴重だと思う。
・アートと教育の関わりで大切なのは教育を違う視点から見ること。教育喫茶では色々なことを幅広くやってみて、興味をもった方が単発的に集まって、ヒントになる場となればいい。
・中学、高校でSTEAM教育を実践してる人たちの話も聞いてみたい。
・忙しい中でも関心を持つ先生方のために、参加者の実践をしっかりアーカイブして、投げかけていくことが大切では。

さらに議論は進み、先生たちのユニークな取り組みを広く共有するにはどうすれば良いか、アウトプットの方法を話し合いました。すると参加者から、「学校ではハードルの高い、自由な実践の実験の場になるといい」との声が。
先生たちは普段「学習指導要領」に則って授業を進めています。その中でいかに自由に実践を行うか、その方法を知る場を必要としているかもしれません。教育喫茶がその場になれるのでは…と、大きな方向性が見えたところで終了のお時間となりました。

令和6年度2回目の教育喫茶も盛況のうちに閉店となりました。今回ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
いただいたご意見をもとに、先生たちの英知を結集し、より多くの方に知ってもらうにはどうすれば良いのか、引き続き考えていきます。
ここからどんな形のアウトプットが生まれるのか、そして今後の教育喫茶にもぜひご注目ください。

教育喫茶では、教育に関わる先生や学生、アーティストなどが集い、色々なテーマに基づいた、実験的なプログラムを作ったり、体験したりする中で、学校と芸術祭が「これからの教育」を共に考え創造するプラットフォームとなることを目指しています。

興味のある方、参加希望の方は事務局までお問い合わせください。
operation@siaf.jp

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