レクチャーシリーズ「芸術祭をかたちにする人」を開催しました!
2018年12月22日(土)、SIAF部レクチャーシリーズ「芸術祭をかたちにする人〜『キュレーター』って何?〜」を開催しました。「SIAF部」レクチャーシリーズ…ということで、今回はSIAF部員が Daily SIAF を執筆させていただきます!
今回のレクチャーシリーズでは、過去2回のSIAFにキュレーターとして参加し現在も多様な現場で活躍する、飯田志保子さん(SIAF2014 アソシエイト・キュレーター/あいちトリエンナーレ2019 チーフキュレーター)、藪前知子さん(SIAF2017バンドメンバー(企画メンバー)/東京都現代美術館学芸員)の2名を迎え、芸術祭の現場において、キュレーターは何を考え、どのような役割を担うのか、その仕事についてお話ししていただきました。
※ 前回のSIAF部レクチャーシリーズ「アートの現場を支える人・育てる人~芸術文化を支える人材育成を考える~」やSIAF部については、こちらの記事をご覧ください。
(写真左)飯田志保子さん (写真右)藪前知子さん
飯田さんからは、SIAF2014の実行委員会の体制や、坂本龍一ゲストディレクターとの各種調整の仕方、会期後にまで話題になった作品«一石を投じる»の巨石(現在は札幌市資料館の前で展示されています)のお話などをしていただきました。
キュレーターの役割の一つである作品の選定については、その内容だけでなく輸送や予算といったテクニカル面のことも念頭におきながら、攻めと守りのバランスを考えることが大切だとおっしゃっており、社会人の方には身近に感じられる一面もあったのではないかと思いました。
また、「都市と自然」というSIAF2014のテーマが札幌市のテーマと同じで札幌を強く意識していたことや、初回を立ち上げ次回につなげる必要があったことなど、初回ならではのお話も伺うことができました。
続いて藪前さんのお話では、「芸術祭ってなんだ?」というSIAF2017のテーマが、それを考えるプロセス自体を芸術祭にしてしまおうということを意味しており、SIAF2014とはまったく異なる芸術祭になったという内容に発展しました。
確かにSIAF2017は、大友良英ゲストディレクターらしさのある即興的な作品・イベントが多かったイメージですが、その即興性が運営側にも及んでいたということは、ただSIAFに来場するだけでは見えてこない驚きがあったのではないでしょうか。
その後お話は、「即興とは何か」「『即興的空間』におけるキュレーターの役割とは何か」「公共空間で即興をやることに意味があるのではないか」という深い内容にまで及びました。
また、今回のレクチャーシリーズのファシリテーターである、SIAF実行委員会事務局の細川統括マネージャーを交えて、飯田さんが関わる「あいちトリエンナーレ」のお話や、藪前さんが勤める東京都現代美術館のリニューアルについてなど、貴重なお話を伺うこともできました。
事務局として過去のSIAFで大変だったことは何か、という逆質問も飛び出し、終始和やかで、お二人の人柄がよくわかる楽しいレクチャーシリーズとなりました。
さらにトーク終盤には、ご来場いただいた市民の方から「SIAFを知らない市民が多いことについてどう思うか」という質問も飛び出しました。
その質問に対して、藪前さんからは「毎回模索しなくてはならない問題なのではないか」、細川マネージャーからは「扱う作品は最先端なので、この仕事は『わかりにくい』を伝える挑戦だ」との回答だったことがとても印象的でした。
また飯田さんは「そうした意見も踏まえて、見る人や運営する人を育てるということも大切にしていきたい」とお話しされていました。
SIAF2020は、企画ディレクターが天野太郎氏、アグニエシュカ・クビツカ=ジェドシェツカ氏の2名(さらにコミュニケーションデザインディレクターも加わる予定です)というチーム制、また、全国的にも珍しい冬季開催であり、SIAF2014ともSIAF2017とも異なる芸術祭になるのではないかと思います。
それは、ますます未知で、新鮮で、挑戦的で、開拓精神に溢れていて、札幌らしいと言えるのではないでしょうか。
SIAF部員としてもいっそう楽しみになりました!
次回のプログラムも是非お楽しみに!!
SIAF部 長江