札幌国際芸術祭

変化するデザイン

メインビジュアルやシンボルマークをはじめとしたデザインのすべては開催期間に照準を合わせ変化させていきます。

2016年2月16日の開催概要において、「札幌国際芸術祭デザインプロジェクト」を、2016年からスタートする継続プロジェクトの一つとして以下のように説明していました。

「SIAF2017を広く発信するデザインは、ワークショップを通じて、芸術祭のテーマにふさわしいデザインの考え方を整理し、まずはシンボルマークに繋げていきます。同時に、サインや看板といった必須のデザイン要素やコミュニケーションのためのデザインを共同作業として組み立てていく予定です。結果だけでなく、その過程を重視することにより、アーカイブについても学習と実践の機会となることを目指します。」

ここに書かれている通り、これまで一般参加のミーティングやワークショップを重ね、会場に繋がる札幌の街全体の風景を視野に入れながら、どのようなデザインがSIAF2017に相応しいか判断するための軸を探ってきました。そこから導かれたのが以下の項目です。

1)単一の規格で統一イメージをつくるのではなく、芸術祭が包括する個々のプロジェクトの多様さに対応しうる柔軟さを備えていること。

2)札幌の街全体で展開される特性を考慮し、会期に入ってからの現場判断によってもカスタマイズが可能となるような変動性を持たせること。

3)インターネットを通じて世界中の人たちと情報共有することを踏まえ、情報のやり取りによる各要素の変更余地も残しておくこと。

4)芸術祭のため(for SIAF)だけでなく芸術祭を通じて(through SIAF)推進されるべきデザインプロジェクトの一環として、成長させられるものであること。

つまり、現時点で発表したものもまだ途上であり、会期までの約一年の間にも徐々に変化し、また個々のプロジェクトとともに会期が終了するまでの間にも成長を遂げるものとして、造形的にも色彩的にも幅を持った設定をしています。

佐藤 直樹アートディレクター/多摩美術大学教授

1961年東京都生まれ。北海道教育大学卒業後、信州大学で教育社会学・言語社会学を学ぶ。美学校 菊畑茂久馬絵画教場修了。1994年、『WIRED』日本版創刊にあたりアートディレクターに就任。1998年、アジール・デザイン(現Asyl)設立。2003~10年、アート・デザイン・建築の複合イベント「セントラルイースト東京(CET)」プロデュース。2010年、アートセンター「アーツ千代田 3331」立ち上げに参画。サンフランシスコ近代美術館パーマネントコレクション他国内外で受賞多数。