SIAF2020特別編 クロージングトーク 全文公開(日本語)
イベントレポート
2021.03.26

SIAF2020特別編 クロージングトーク 全文公開(日本語)

2021年2月14日(日)に実施したSIAF TV「クロージングトーク」の全文をまとめて公開します!

(映像アーカイブではこちらからお楽しみください)


細川

10日間に渡ってお届けしてきましたSIAF TV最後のプログラム、SIAF2020特別編のクロージングトークです。ディレクターチームと、継続的に札幌国際芸術祭(以下、「SIAF」)を支えてくださっているSIAFコミッティー5名をお迎えしてお送りしたいと思います。モデレーターを務めさせていただきますのはSIAF事務局マネージャーの細川です。よろしくお願いいたします。SIAFで、このようなクロージングのトークやイベントを実施するのは実は初めてではありません。これまで過去2回のSIAFでも開催してきました。

札幌国際芸術祭2014ファイナルトーク|2014年9月28日実施
(左から吉崎元章、寺嶋弘道、梁井朗、端 聡、四方幸子、飯田志保子、浅田 彰、武邑光裕 / 敬称略)

 

SIAF2014では最終日に札幌市役所ロビーで、芸術祭全体を振り返るトークを実施しました。
こちらにはコミッティーの飯田さん・吉崎さんが出演されています。

 

札幌国際芸術祭2017 クロージングイベント「モエレ沼公園 音楽&解放区」|2017年9月30日実施
(真ん中左:大友良英 ゲストディレクター)

 

SIAF2017では音楽家の大友良英さんがディレクターだったこともあり、多くの人たちが集いミュージックフェスティバルのような形式で芸術祭の最後を締めくくりました。そして本日は、SIAF2020特別編の最後ということで、今までの振り返りだけではなくて、次回3年後の芸術祭を目指して、2023年に繋がるようなトークで締め括りができればと思っています。

 

細川

それではここで改めてディレクターチームを紹介させていただきます。

ディレクターチームの皆さんはSIAF2020特別編開催中の札幌には来られなかったため、オンラインでその様子をご覧になっていたという状況でしたが、まずはこの特別編を少し振り返って、ディレクターから一言ずつコメントをお願いします。

 

天野

去年(2020年)の7月にSIAF2020の中止を発表しましたので、普通は「中止」と聞くと本当に何もないのかなあ、と皆さん思われたと思いますが、一つの実践として、アーティストの作品ですとか、インタビューとかを、色々な形で「配信」をしてきました。ここでは、コロナ禍で今どなたでも活用されているような、zoomですとか、Skypeなんかを使いました。

その一方で、今回は、完璧な形ではもちろんないですが、実際に展示をしました。リアルの展示があったっていうことは、“爪痕”ということでもないですけれど、物理的な刻印をしたという印象があります。それも含めて、次ですよね。次回に繋がるようなホールドになったというか。

人間ってやっぱり実際に触ったりすることがすごく大事だと思います。そういう意味で、札幌文化市民交流センターSCARTSにおける展示というのは良かったなと思っています。

【アグニエシュカ】

皆さんこんにちは、よろしくお願いします。コミッティーの皆さまには、この特殊なかたちとなったSIAFの道のりを支えてくださったことに感謝を申し上げます。今回は、市が主催する大規模な芸術祭が、刻々とした変化に対応しながら準備を進めなければならないという実験の場のようでした。
SIAF2020に向けて準備してきた企画やアイデア、プロセスを広く共有することができ、こういった状況下での可能性を一つ提示できたと感じています。何より芸術の意義に光を当てるものだったと思います。今後も札幌市の事業として、SIAFが継続されることを期待しています。

 

【細川】

では、田村さん。まずは連日のSIAF TVを走りきる直前まできている中で、このクロージングトークになりました。
遠隔のバーチャルスタジオから連日出演していただいたので、その振り返りも聞きたいところですが、今日のクロージングトークでは、どのようなトピックでこのクロージングトークを進めていきたいかというところをまずは少しお話いただければと思います。

クロージングトークのトピックに関して事前にディレクターチームの意見を聞いたところ、期せずしてかなり同じようなコメントや視点というのが出てきたと聞いています。

 

田村

SIAF2020の中止が決まってから、どういうことをやっていけばいいのかというのは、このコミッティーの皆さんとも色々とご相談させていただいたうえ、試行錯誤の中で進めてきました。
その最後のトークにあたり、何をテーマとしたいかということをディレクター陣で考えた時に、やはり私たちだけで見てきたものをお話するというよりは、これまで見守ってきてくださったコミッティーの皆さんと一緒に、このコロナの状況というものを改めて捉え直しつつ、ただそこで終わるのではなく、次につなげるようなトークにできれば良いのではということが総意としてありました。

SIAF TVを実施したこの10日間の中でも、SIAF2020が中止になったことで展覧会というはっきりした枠組みがなくなった分、その境界が曖昧になったまま次を考えられると感じました。
ここからここまでが2020で、ここからここまでが2023というような枠組みがないので、その枠組みの無さというのを、逆に2023の方に向けると、すごく可能性が広がった状態で次を考えられるのではないかと、今は思っているところです。

ぜひコミッティーの皆さんには、SIAFに関わることだけには限らず、それぞれの立場や知見、去年コロナの1年間を通して考えたことなども踏まえながらお話ししていただけるとありがたいと思っています。

 

細川

それではここで改めてSIAFコミッティーをご紹介させていただきます。

SIAFコミッティーは、それぞれ専門的な見地をお持ちの5名で構成されております。継続的に芸術祭に対してさまざまな助言、そしてサポートを行っていただいています。メンバーは、

キュレーターの飯田志保子さん(上段左)
大阪大学共創機構社学共創本部准教授の木ノ下智恵子さん(下段左)
多摩美術大学メディア芸術コース教授そしてアートアーカイヴセンター所長であり我らがSIAFラボプロジェクトリーダーの久保田晃弘さん(上段中央)
公益財団法人札幌市芸術文化財団市民交流プラザ事業部センター事業課長ということで、今私がいる会場、SCARTSのプログラムディレクター、吉崎元章さん(下段中央)
そして、株式会社ニッセイ基礎研究所研究理事の吉本光宏さん(中段左)

事務局では、この5名の方々に継続的にご意見をいただきながら、SIAFの準備を進めています。今日は時間が限られていますので、コミッティーの皆さまに、順番にお話を聞くというスタイルでこのプログラムを進めさせていただきます。

それでは早速ですが、久保田さんから、まず今の3名のディレクターのコメントを聞いて、一言いただけますか。


【久保田】

まずは本当にお疲れ様でした。いずれのコメントにもあったように、こうした状況の中で(サブタイトルにある)「できる限りのことをやる」ことが、本当にできていたのではないかと感じました。ドキュメント展、SIAF TV、それからSIAFラボの方々によるWIC2021展示の同時開催。それらが札幌で実際に開催されたということは、とても意義があったと思います。

 

【細川】

初めにSIAF2020の中止という連絡を聞いた時はどのように感じられましたか。

 

【久保田】

僕は大学で仕事をしているので、今の年度末の時期は、講評会や展覧会が数多くあるのですが、ちょうど一年前の2月の末に感染が広がり、3月にはすべての卒業展が中止になりました。SIAFに限らず、さまざまな展覧会ができなくなったことを実感している最中の、SIAF中止の連絡だったので、覚悟もしていたというか、そうなることも当然、想定の中に入っていました。だからむしろそういう状況になった時に、参加作家との協働も含めて、芸術祭をどうしていけば良いのか、あるいはどうしていける可能性があるのかということを、中止と聞いた時、まず最初に考えました。

僕自身、2015年からこのコミッティーに参加して、SIAF2017も中から見てきました。第1回、第2回のSIAFは、坂本さん、そして大友さんといういい意味で本当に華のある方々に「札幌で芸術祭をやるぞ!」と宣言していただいたような感じでした。

そしてこの第3回は、天野さんによる地元の美術館との協働をはじめ、アグニエシュカさんという国際的なディレクターをお迎えしたり、公募によって選ばれた田村さんというコミニケーションデザインディレクターのポジションなど、コミッティーとしても、新しいことにチャレンジしようという機運に溢れたSIAF2020でした。だから、そのチャレンジを実施し、検証することができなかったのは、本当に残念で仕方ありません。実現していたら一体何が起こっていたのでしょうか。

ただ逆にいうと、この様な新しい組み合わせによるディレクター陣だっただからこそ、このドキュメント展やSIAF TVのように、こうした危機的な状況においても、クリエイティブな特別編を実施できたと考えれば、本当にできる限りのことを、色々な人たちが実現してくれたと改めて感じ入っているところです。

 

細川

その特別編の中でも久保田さんが気になったプログラムがあれば、コメントをお願いします。

【久保田】

メディアという観点から言うと、やはりここ10年くらいはメディアアートの世界でも現代美術の世界でも、ポストインターネットというキーワードが色々なところで議論されてきました。僕らがいま使っているようなスマートフォンや、インターネットが身近になって、具体的には、スマートフォンを持つことで、インターネットを常に携えて生きていく、という状況の中で、コミュニケーションが行われ、リアリティが作られていく。そうした状況の中における展覧会のあり方が、今回の中止の状況において際立ちました。もちろんそれは、期せずしてなのですが、(このポストインターネットの状況下で)特別編が現実に行われたことが、非常に重要なポイントになったと思います。

中止になったのは別にSIAFだけではなくて、社会の中でありとあらゆるものが中止になってしまった。そうした中で、ポストインターネット的なオンラインの状況が、多くの人にとって身近なものとならざるを得なくなりました。だから、この1年のメディアリテラシーの向上は、社会全体としても、ものすごく大きなものだったと思います。その上でこの特別編が行われたことは、実はこのこと自体が、次の時代の新しい芸術祭、さらには芸術祭だけに限らないフェスティバルの壮大な社会実験、テストケースになったと思っています。

オリンピックや万博のような、これまでの大規模なフェスティバルが、今後は全てこうした状況を踏まえて開催されるわけですし、芸術祭ひとつをとってもそれこそ、あいちトリエンナーレの後、横浜トリエンナーレやさいたま国際芸術祭など、さまざまな形でバーチャルとフィジカルを組み合わせている。そうしたことが今後、まずは3年後のSIAF2023でどう振り返られるのか、ということを予測検証していく作業が、非常に重要になってくると思います。

特に、個人的に興味を持ち、すばらしいと思ったのは「SIAFマトリクス」です。以前から、芸術祭のように沢山の作品が同時期に展示される展覧会においては、何らかの形でナビゲーションすることの必要性が、当然検討されていました。そのことに加えて今回のマトリクスは、単なるナビゲーションを超えて、新しいタイプのキュレーションだと捉えられます。AIによるキュレーターによって展覧会がダイナミックに生成される場となった。マトリクスでは、こうした状況においても、新たな展示実験が行われました。実際に開催された場合も、来られない人がいるわけですから、マトリクスの中で多くの人が、どこにリアリティがあるのかということを問い直しつつ、新しいかたちでの作品の鑑賞体験を考えるようになったと思います。

話し出すとキリがないのですが、こうしたキュレーションの問題、加えてデザイン的な作業を通じて作られる展覧会や芸術祭における、新しいデザインの方法、そうしたそのデザインの社会との関わりも実験できました。この後、今回の記録集が作られると思いますが、その内容をじっくり検証していくことが大切だと思っています。

 

細川

ありがとうございます。SIAFマトリクスに関するコメントをいただきましたので、それをディレクションしたアグニエシュカさんからコメントいただければと思います。

 

【アグニエシュカ】

久保田さんありがとうございます。社会に芸術をもたらす新たな方法を、協働しながら見出していくことの大切さについては全く同感です。また、芸術祭の開催について協議していた期間、そして中止決定後も、アーティストとのやりとりがとても重要でした。

「共にある、共に考える」という部分には、もちろん札幌市民も含まれていました。芸術祭やその都市のまわりに一時的なアライアンス(協力関係)を生み出す力があるということは、芸術祭の非常に大事な在り方だと思います。

このような活動はSIAF2017から継続され、その間、SIAFラボや札幌市資料館(旧札幌控訴院)にあるSIAFラウンジの意義もどんどん高まってきたのだと思います。アートメディエーションプログラムに力を入れていたSIAF2020には、こういった全ての活動がしっかりと染み渡っていたのです。久保田さんが最後におっしゃられたキュレーションというポイントにもつながってきます。

特に今回は、芸術祭と観客との距離を意識的に近づけようとしていました。ところがCOVID-19パンデミックによる移動の制限が、芸術祭で生み出されるはずだったたくさんの出会いを不可能にしたのです。移動の制限がある以上、「観客に近い芸術祭」をつくり上げることはできないと考え、開催中止という判断も受け入れざるを得ませんでした。

観客に近くあろうとするキュレーションは、アーティストと共に準備してきたプランやアイデアを観客と共有しよう、という発想を生みました。そして、特殊な状況下における新たな体験として、ウェブサイト「SIAF2020マトリクス」を構築することになったのです。中止決定後に何をしていくべきか、コミッティーのみなさんとも一緒に協議してきましたが、「SIAF2020マトリクス」というアイデアがみなさんに受け入れられ本当に嬉しく思いました。この特別なウェブサイトを通じて、特別な方法で観客に歩み寄るという機会が得られたことに、とても感謝しています。

また、SIAFにおいて非常に重要な点はメディアアートに重きが置かれているということです。札幌市がユネスコ創造都市ネットワークのメディアアーツ都市に認定されていることもその理由の一つです。そのため、アーティストも作品を通じて言及してきたテクノロジーを活用し、作品に関連するアイデアを体験してもらうということに大きな意義があると考えました。というのも「これはオンライン展覧会ではない」ということも大事なポイントだからです。

私は「これは展覧会ではない」「展覧会は開催されなかった」ということを強調してきました。「SIAF2020ドキュメント」では、SIAF2020の記録(ドキュメント)をインターネット上から取り出し、パソコンやスマートフォンの画面上ではなく、フィジカルな場所での出会いが生まれ、とても良かったと思います。ですがこれはショーケース(展示会)のようなもので、展覧会ではありません。豊かなアーカイブがありながらも、同時にアートそのものの欠如に直面し続けているのです。これがマトリクスが提供するSIAF2020の新たな体験だと思います。

Thank you very much. ありがとうございます。

 

細川

ありがとうございました。久保田さんには展覧会準備の最中にご出演していただいたということで、参加される展覧会をご紹介させていただければと思います。東京の方はぜひ足をお運びください。久保田さんありがとうございました。


2021年 宇宙の旅 モノリス _ ウイルスとしての記憶、そしてニュー・ダーク・エイジの彼方へ
会期:2021年2月19日(金)~ 4月25日(日)
会場:GYRE GALLERY 東京都渋谷区神宮前 5-10-1 GYRE3F
https://gyre-omotesando.com/artandgallery/2021-a-space-odyssey/

 

続きまして、飯田志保子さんよろしくお願いします。飯田さんからもディレクターチームにコメントいただけますでしょうか。


飯田

本来であれば札幌で、3名のディレクターをはじめ今チャットでコメントを寄せてくださっている視聴者の皆さんともお会いできたら、プチ同窓会になっていたと思います。皆で「(SIAFが)オープンしてよかったね」と祝うことができないのが非常に残念ですけれど、中止発表以降の起死回生といいますか、体制立て直しの状態から、やる気みなぎるコンテンツを色々実現されて、本当にお見事と申し上げたいと思います。お疲れ様です。

 

細川

今回中止の方向性をコミッティーの皆さまにお伝えさせていただいた時、飯田さんから真っ先に、まずはアーティスト、そしてディレクター、キュレーター、実際に準備に関わっている人たちに寄り添うようなかたちで、中止のこといち早く伝えるべきではないかという助言をいただいて。事務局側はそれを実践することになりました。その時はどのような考えからそういったアドバイスをなさったのでしょうか。

 

飯田

私はコミッティーを2015年から務めていますが、ご存知の方もいらっしゃるとおり、初回2014年の時にはアソシエイト・キュレーターとして現場で皆さんと一緒にSIAFを作ってきた一人です。運営スタッフで初期から従事されている方と同じようにSIAFとの関わりは2012年から、もう足掛け8~9年くらいになります。そういう意味で、どうやってSIAFのインフラや、芸術文化に関わるさまざまな立場の方の環境を保持していけるのかというコミッティーとしての立場からの考えがありました。

同時に私はキュレーター、要するに実践者の一人でもあります。私自身がいま準備している海外の展覧会も、本来であれば去年10月から始まって今頃はもう終わっているはずだったのが、4度の会期変更があって、2年ぐらい開催が遅れているような状況で、まさに私も当事者の一人なのです。私は普段あまり軽々しく他人のことを「理解します」とか「わかるよ、それ」みたいなことは言わないようにしていますが、今回の中止に関しては、皆さんがどういう気持ちか本当に深く理解出来たので、作品のアイデアがあっても実現できないアーティストや、テーマから考えて取り組んでこられた3名のディレクター、事務局の皆さんが他人事では無いことから、そういう意見を伝えました。

あともう一つ、SIAFは札幌市、そしてもちろん札幌市以外の北海道や、もっと大きい意味での「市民」に対して開かれたものですが、「SIAFは札幌市民にとって芸術文化の大事なインフラである」、「人間が尊厳を持って生きるために芸術は大事であり、札幌にはSIAFがある」、ということを今後も言っていけるように、従事するアーティスト、キュレーター、コーディネーター、テクニシャン、特にそうしたフリーランスの労働者や従事者の環境をきちんと確保してほしいと思いました。

コミッティーの立場として、(中止になっても)アーティストフィーが支払われるのか、契約はどうなるのか、次のチームはどうなるか、ということをまず確認したのは、次回以降もSIAFが札幌にとって芸術を支える大事な基盤であるためには、やはり環境・インフラが大事。そういう気持ちでした。

 

細川

ありがとうございます。中止の相談をした時は、事務局としてもディレクターチームとしても、これからどうなっていくかを話していた最中でした。今日はその結果となる「特別編」の最終日ですが、それを遠隔からご覧になって、どのように感じられましたか。

飯田

すごい充実ぶりで。SIAF TVはアーカイブ映像が残っているので結構見ています。コンテンツの幅が広いのがいいですね。下手をすると内輪うけになりそうな内部の話から、国内外の方も広く楽しめるものまである。大事だと思ったのは、のちのち専門家がリサーチに活用して、たとえば「アイヌのアーティストはどこにいるのか」といった疑問が出てきたときに、このアーカイブが残っていると大事なリファレンスになること。そういう意味では非常に充実した活動になったと思いながら見ています。

天野

今おっしゃっていただいた、結局どのように継続していくかを考えた場合、他の国際展も同じだと思うんですけど、やはり「人」なんですよね。毎回そのチームがごそっと変わってしまうようなことは、できれば無いようにするというのが、継続性には非常に重要だと僕も思うんです。もちろん参加アーティストの条件やスタッフの人の環境もそうですね。昨日、アーティストと話していた時に、この配信準備が始まってから俄然アーティストに対するサポートが非常に濃密になってきたというのはみんな言ってた。こういう関係とか、人材、環境みたいなことをしっかり守っていくっていうのが、当たり前ではあるんですが、日本全体のことを考えるとなかなか厳しい状況があるので、やはりそこに目を向けていただけたのは非常にありがたいと思っています。

 

飯田

元々コミッティーの一人でもあった天野さんが、ディレクターに起用されてSIAF2020の統括ディレクターを務められたことは、SIAFのインフラ整備、環境整備の一環として大きいと思います。アイヌのアーティストの紹介や雪に焦点を当てるなど、札幌でしかできないこと、あるいは札幌でやるから意味があることです。SIAF2014ではカムイノミを執り行いましたし、初回から私たちはそうしたことをずっと心がけてきましたが、北海道にかなり深い縁がある天野さんがチーム編成に関わり、地元のキュレーターや地元のアーティスト、そうしたゲートキーパーが持っている扉を開けて、アクセスして、やっともう少し深いレベルで関わることがようやくでき始めた回だったと思います。

天野さんがディレクターの一人となって、アイヌのこともメディアアートのことも、そしてメディアを使ったアイヌの表現も、それぞれの領域がセパレートされたものとしてではなく、きちんと丁寧に見ようという意識が感じられたのは、私は今後のSIAFのための功績として強調しておきたいと思います。

 

天野

ありがとうございます。僕の中で特にこの数年の間、とにかく知らないことがあったら知っているやつに聞くのが一番だと考えていて。当たり前のことだけど。アーティストが調査したいという時に、そのことについて1番よく知ってる人にまず相談するというか、そういう人との関係をつないでいくと、それは地域の人とのつながりになる。

もう一つは、SIAFは札幌市の事業ではあるけれど、北海道内の広域な地域とのつながりを作る。各地域にはその当事者としてよく知っている人がいるわけなので。そういうものが結果的に事実上つながっていって、展覧会の主催・後援だけでなく、協力のところにも夥しい数の人物や地域の名前が入ってくような状態が、僕は理想的、というのはおかしいけど、そうであるべきだと僕は思うんです。もちろん、そういう作品ばかりじゃないですけども。だけど、やっぱり地元の人材活用というか、本当にきちんとした力が地域にはあるということを知らしめるのにはこういう国際展は良い機会だと思います。

 

飯田

最後に一言だけ付け加えさせていただきます。本日のSIAF TVで配信されたブルック・アンドリューさんとマユンキキさんのトークが素晴らしかったです。詳しい人に聞くというのは当たり前のことではありますが、そうやって活動していくことが札幌、北海道、そしてインターナショナルに繋がっていくことだと思います。

ブルックさんもトークで言っていましたが、マユンキキさんが継続的にSIAFに関わっていたり、天野さんがある意味舞い戻ってきたり、アグニエシュカさんが参加してメディアアートをキュレーションを拡充していったり、そういった人の繋がりで地域を掘り下げていくことが、最終的にインターナショナルに繋がっていく、この図式を大事にしていけたらと思っています。

 

細川

ありがとうございます。緊急でブルック・アンドリューに出演していただいて、田村さんの通訳で、非常に充実したトークになりました。ぜひアーカイブで皆さんにもご覧いただければと思います。飯田さんありがとうございました。


では続いて、吉本さんお願いできますでしょうか。

吉本

3月末発行予定の記録集「SIAF2020インデックス」のゲラを送ってもらった時にも感じたことを原稿にも書きましたが、確かにSIAF2020の展示は中止になりましたが、インデックスにはSIAF2020そのものが全部凝縮されていて、展示は中止になったけど、SIAF2020そのものは開催されたと僕は思ったんです。

サイト上でも色々な展開がなされていて、正直なところ多分100分の1も見ていないと思いますが、サイトを見るとディレクター3人の強い思い、あるいは事務局の方々の強い思い、特に事務局の方々の、展示が中止になったことに対するある種の葛藤というか、ストレスというか、そういうものをベースに可能な限りの取り組みを行ったというすごい熱量を感じました。

マトリクスもとても素晴らしい。見始めると止まらなくなりますね。時間を忘れてどんどん新しいものをずっと探したり。あるいは田村かのこさんのアートメディエーションの訥々とした語りにすごく癒されたり。鑑賞者の皆さんは色々なことを体験していると思います。ですので、繰り返しになりますが、残念ながら展示は中止されたんだけど、SIAF2020は確実にインデックスの中でも、サイトの中でも開催されたというのが私の印象です。

 

細川

ありがとうございます。この後は改めてコロナの状況を受けて、社会におけるアートの役割を吉本さんからお聞きできればと思いますが、お願いできますか。

 

吉本

皆さんもそうだと思いますが、コロナが発生してから色々なことを考えていると思います。

新型コロナは時代が大きく変わるということだと思いますが、色々な方の論考の中で、私自身がとても共感するのは『サビエンス全史』を書いた歴史学者ハラリの言葉です。世界の分断が進んだらコロナウイルスの勝利になる、でもこのウイルスが発生したことによって世界の連帯が進めば、それが人類の勝利になる、ということを語っています。

時代認識として、20世紀後半はグローバリズムが進展した時代だと思います。でも今世紀に入ってからは世界の大国が自国中心主義になって、中国とアメリカの対立や、ロシアの強国化が進んだり、あるいはイギリスがEUを離脱するなど、どんどん分断が進んでいったと思います。新自由主義という考え方や原理が世界中に蔓延してさらに勝者と敗者、富める者とそうではない者との間の分断が進んでいる。そこに新型コロナウイルスが発生した。新型コロナウイルスの世界的なパンデミックというのは明らかにグローバリズムによって加速したと思います。

だから、2020年の新型コロナウイルス以降の時代がどうなるか、色々な話がありますが、やはりこれからは分断が加速していくのか、あるいは国境や人種を超えた連帯や信頼が回復されていくのか、そういうことが問われる時代に私たちはいるのだと思います。そのような時にアメリカ大統領がトランプからバイデンになりました。昔であればアメリカがグローバルリーダーシップを発揮して、連帯の方向に持っていくということがありましたが、今はそういう時代ではない。イギリスは、EUを離脱して、ある意味分断を加速させていますが、そのボリス・ジョンソン首相が新型コロナウイルスに感染して、危険な状態になりました。分断を加速させようとする世界のリーダーが新型コロナに感染をしているというのは、なんだかすごく皮肉な出来事じゃないかなと感じたりします。

新型コロナの世界的蔓延が始まったころから私自身がこの1年間ほど関わっている国際文化交流を紹介したいと思います。World Cities Culture Forumという国際都市の文化的なネットワーク組織があります。

2012年のロンドン五輪の時に始まった都市間のネットワークで、都市における文化のあり方、芸術の重要性をアピールしていこうという趣旨です。毎年会議が行われていて、2020年は秋にミラノで開催する予定になっていました。

でも、ご存知のようにミラノ、北イタリアは、ヨーロッパでも早い段階でコロナが蔓延したので、2020年は開催できないだろと思っていました。ところが2020年2月の末ごろに会員のところに理事長から連絡が来て、こういう時だからこそ連帯が必要だから、Zoomで会議をやりましょうと。以降2週間に1回ずつ、継続してZoomで国際会議が開催され、私も何度か参加しました。

それを通じて感じたことがあります。このWCCFはこれまでは年に1回、実際に集まって会議を開催していたのですが、2週間に1回オンラインで会議に参加することによって、国際会議を物理的に開くということとは違う、色々なことが見えてきたと感じます。特に、この「オンライン・リアルワールド」と書いてある部分ですが、2週間に1回Zoomで会議に参加していると、オンライン上のことだけど、それがとてもリアルに感じられたんです。

バーチャル、オンライン、リアルとありますが、その中間のいわば「オンライン・リアルワールド」とも呼べる領域である種の国際文化交流の世界、空間のようなものが形成されたと感じました。それが国際文化交流だけではなく、芸術の表現を行う新しいスペースとしても、時間や物理的な距離を超えたところに新しい空間が生まれたのではないかと感じましたが、それが今回SIAF2020のサイト上の展開を見て、ますますその可能性を非常に強く感じました。

新型コロナによって、芸術祭のあり方も、コロナ前、コロナ後で相当変わってくると思います。SIAFもそうですが、日本の国際芸術祭は、2010年以降に活発に行われるようになってきますが、芸術の役割がものすごく拡張し始めた時期と重なっています。

そのような状況で、芸術そのものだけではなくて、教育、福祉、地域創生、経済・産業などのように、芸術の価値が非常に多様化してきたと言われています。本質的な価値、経済的な価値、社会的な価値、地域的な価値、色々あります。

日本の芸術祭というのは、本質的な価値よりも、どちらかと言うとこの社会的な価値とか、地域的な価値、まちづくり的なことですね、そういうものに重きが置かれて開催をされてきた気がします。

SIAFも地域の活性化が大きな目標のひとつとなっていますので、どちらかというとそのような尺度で、評価もされてきたのではないかと思います。新型コロナが発生したことによって、インバウンド型の芸術祭、たくさんの人が来て地域が潤うとか、経済的にも活性化するとか、そういうことは今、もうできなくなっていると思います。

ですから、もう一度その芸術祭の原点、つまり新しい作品、新しい芸術表現を追求していくこと、そういうチャンスを与えることが芸術祭の本来の意義だと思いますが、社会的な価値や、地域的な価値、経済的な価値よりも、国際芸術祭の本質的な価値は何なのかという原点に返って、本質的な価値をもっと重視した芸術祭が開催されるべきではないかと感じています。

SIAF2020はまさしくその中間地点に位置していて、アーティストインタビュー等を見ると、コロナの中でアーティストが思考を巡らせながら作品の表現がどんどん変わってきているということがわかるものでした。次回2023年に開催されるSIAFは、コロナ後の芸術祭になりうるかどうか。ポストコロナの新しい芸術表現を模索する、そういったものを世界に問うような、そういう芸術祭であって欲しいと思います。

 

細川

ありがとうございます。では、アグニエシュカさんからコメントよろしいでしょうか。

 

【アグニエシュカ】

吉本さんありがとうございます。SIAFチーム、そしてSIAFに関わる人々の熱量を感じられたというお話しでしたが、私も全く同感です。この情熱があることで、芸術祭を支える都市・コミュニティーの役割が今後どうあるべきかという問いが、正しい文脈の中で捉えられていると思います。

吉本さんが提起してくださった問いの中で、やはり最も重大なのはポストコロナ時代のニューノーマルがどんなものであるかということです。ほとんどの時間を自宅で過ごし、出張もできない、という状態が1年ほど続いています。人々が集ったり、移動したり、ということが今後できるようになるのか、これが最も重大で深刻な問題だと感じています。

今回、多様なプラットフォームで実施した全てのプログラムを通して、SIAF2020の本質があらわれていたと思います。芸術そのものを見せることができない中でも、芸術表現の本質的な価値をどうにか守ることができたのです。移動の制限が芸術祭の基本的な部分に大きな影響を与えたことは確かですし、たくさんの要素が欠けていました。これは次回のSIAFを考えていく上で受け止めて行かなければならないことです。COVID-19で示されたように、今後も地球を揺るがすような危機を含め、様々な要因による制限を受け入れながらSIAFを作り上げていかなければなりません。

立ち向かうべき課題がたくさんあるわけです。国際的な協力関係をどう維持するのか、どうすればより環境的な視点でサステナブルなありかたを目指せるのか。また吉本さんが指摘されたように、地域の社会的・経済的価値をどう育んでいくかということは、芸術ともつながっているわけです。

また、今回SIAFではアートメディエーションという考え方を取り入れ、新たな鑑賞者を開拓する視点に立ちました。例えばSIAF2020ドキュメントはSIAFを知らない方でも楽しんでいただけるようなものを目指しましたが、芸術祭には様々な層の鑑賞者がいるのです。多様な鑑賞者に向けたプラットフォームやプログラムが必要であることを今回学んだと思います。

さらに私が感じたのは、回を重ねアクティブに展開されていくSIAFのような芸術祭には、その地域にある現代アート関連機関のサポートが必要だということです。前回のSIAFからここまで実施されてきた事柄を並べてみると、単なる芸術祭主催者としての役割以上のものをSIAFが担っているように思うからです。これは、札幌において現代アートやメディアアートに資する恒常的な組織・機関の立ち上げを検討するある種のきっかけになるかもしれません。

こういった組織は、社会的変化や組織そのものの変化に柔軟なものとして、新しいやり方で検討されなければなりません。建物やコレクションという視点はそれほど重要ではありません。ただ、札幌における現代アートのコレクションが少ないという点は、今回北海道立近代美術館の所蔵作品を展示に取り入れようとする中で浮き彫りになってきたと思います。このようにたくさんの変化があったと思うのですが、続きのコメントは最後にとっておきたいと思います。吉本さん、ありがとうございました。

 

細川

ありがとうございます。冒頭で田村さんがディレクターチームからのトピックとして挙げられていた新型コロナウイルスと今後の文化、国際芸術祭というものを、図式化していただいた上で、説明いただきました。短い時間で準備いただき、吉本さん、ありがとうございました。

 

吉本

ありがとうございました。もう一言だけよろしいでしょうか。

 

細川

はい、お願いします。

 

吉本

2023年になると、100%ではないと思いますが、新型コロナは収束に向かっていると思います。新型コロナを経験し、我々の従来の価値観は根底から揺さぶられていると思うのですが、2023年に開催される芸術祭として「2020年の新型コロナとは何だったのか」ということをもう一度呼び覚ましてくれるような問題提起を、芸術祭あるいはアーティストの表現に期待したいと思います。

 

細川

はい。次回を考えるにあたって新型コロナの状況は外すことができませんし、それを踏まえた準備になると思います。引き続きご助言をいただければと思います。ありがとうございました。では続きまして、木ノ下さん、お願いいたします。


木ノ下

皆さま、本当に今日まで走り続けておられて本当にご苦労様です。お疲れ様でした。そしてありがとうございます。天野さん、アグニエシュカさん、田村さん、そして関わるアーティスト49組、スタッフ、そして美術館や関係者の方々のご苦労とそしてご無念、苦渋の選択の後の新しい創造性に向かってのチャレンジというものを目の当たりにして、今こうやってオンラインという形で出演させていただき大変光栄です、ありがとうございます。

 

細川

木ノ下さんご自身も、「クリエイティブアイランド中之島」というプロジェクトで、私たちのSIAF TVとほぼ同じ時期にオンラインでさまざまなイベントを繰り広げてられていたと聞いています。

クリエイティブアイランド中之島 https://nakanoshimalab.jp

木ノ下

はい。まさしく今日(2月14日)の昼間まで、宇川直宏さんというDOMMUNEなどのライブチャンネルを運営されているアーティストのディレクションによって、実施していました。中之島というのは、大阪の3.3キロの中洲に、規模とするとパリのシテ島とかドイツのムゼーウムスアイランドのようなところと同等なのですが、14もの複数の機関、国立国際美術館や科学館、東洋陶磁美術館などが集まっている場所でして、その機関同士のネットワークを、2020年、コロナが始まってすぐの時期に立ち上げました。その最中、やはり実際の来場を踏まえて、館(やかた)を持っている美術館、あるいは施設が何をすべきなのかということはすごく思い悩み、たくさんのディスカッションを重ねてきました。恐らくこのSIAFと同じような状況を歩んできたと思います。

このような中でも絶対に出来ることがあるんじゃないかということでやはり重視したのは、今回のSIAFもそうだと思いますが、歩みを止めずに、メディアプラットフォームを築くということです。それが、今回のオンラインという一つの選択肢に至ったわけです。ちょうどSIAF TVと時期も同じく、2月6日から今日まで毎日Night and Dayプログラムという形でオンラインコンテンツを配信しておりました。

 

細川

SIAF側では、田村さんが特別編のフロントに立っていました。それはいかがでしたか。

 

田村

そうですね。木ノ下さん、お互いお疲れ様でした。中止になってからも、コミッティーの皆さんに色々相談させていただきながら、手探りで色々試していたという点で、SIAFも中之島も状況としては一緒だと思います。あとやはり中止を受けてどうしようという状態のときに、木ノ下さんが私たちに向けて、ここは関わってくれる人が全てだから、まずはその周りの人たち、例えば私たちにとってはアーティストが一番大事な存在としているので、アーティストに対して何ができるかというところから考えた方が良いということをアドバイスしてくださって。それが私としては、中止を受けてその後の活動の全ての指針になったのですごくありがたかったです。

木ノ下さんは中之島での実践を通してプラットフォームを作るということでしたが、その中での発見や、新しくやってみて気づいたこととか、終わったばかりではありますが、何かあればお聞きしたいのですが。

 

木ノ下

今までは自分の場所であったり、自分のコレクション、自分の人脈とか、(自分が所属する)1つの組織をどうしていくか、オーガナイズしていくかということが重視されるような方式だったと思うんですが、今回、コロナという共通の大きな課題がある中で、あえて、芸術が今後、どのように社会で実践していけるかということを考えました。

今までのような、実来場やメディアを中心とした展覧会という美術館の運用ができない。クリエイティブアイランド中之島では「フェスティバルホール」という2500席ほどの世界にも誇るホールにも参画してもらっているのですが、やはりそこでも一切、いわゆる商業的なエンターテイメントができなくなってしまったと。それであればカラの状態、何もない状態で、何ができるのかをあえてポジティブに捉えてみようということで生まれたコンテンツが、例えば2500席のホールに150人ぐらいを入れて、ホールの音響機能を聴き比べるイベントを実施しました。人が少ないということをポジティブに捉えて、音響のプロフェッショナルにお話しいただいたり、あえてその少ないことを逆手にコンテンツをクリエーションしていく。

今回のプラットフォームメディアの中之島プロジェクトでは、「コラボレーション」することと、「エクスチェンジ」、それぞれの人やコレクションを変えていくということ、そして場所や時間をつないでいく「リレー」、このコラボレーション・エクスチェンジ・リレーをキーワードに、すべてのプログラムをそれぞれの価値や人々を、他者の目線からキュレーションしていこうということで、あえて相手側にも権限を開いていただくということにチャレンジしました。

全てが実現できている訳ではないですけども、そういったことが既存のものを読み替えていくという、本来のアートの本質だと思います。先ほどの吉本さんのお話しにもありましたが、特に日本の行政の文化政策の場合は、経済や観光インバウンドなどに重きを置いてきたことが否めないと思いますが、芸術が芸術としてきっちりと自立していくためには、芸術の創造性が一体何たるかということを、私たちが従事する者たちとしても、今一度振り返り、見つめ直し、それにおける効果・価値の創造を真剣に考え直すべき時が来ている。そうするためには、そのためには走りながらでもいいのですが、今回はじっくりと議論して考えうる時間が持てたなと思っています。

 

田村

まさにそうですね。今私たちはこのコロナ禍の状況にいて、これまでの評価軸、例えば入場者数とか、どの位売り上げが出たかとか、そういったことはとりあえず度外視になっているので、中之島でも、SIAFでも、そういう評価軸が前提だとできなかったであろう実験が今できているというのは、私もSIAFのプログラムで実感としてあります。

そこで次を見たときに、この実験ができた色々なことを、どのようにコロナ後の世界に持っていけるのかを、これから考えなければならないと思っています。恐らく前の世界には戻らないので、評価軸自体も考え直しになるでしょうし、そもそも芸術祭というものが成立するのかとか。全部が考え直しになる中で、この実験で出来た一番の本質に迫るものを、どのように次に持ち運べるのか。それについて木ノ下さんは何かイメージはありますか。

 

木ノ下

ある意味、こういう価値があるからこうやるべきみたいなロジックではなくて、そもそもアート、あるいは芸術みたいなものは、恐らく自然に抗うために人間が生み出した英知そのものだと思うんです。逆に言えば人間しかできないすごいことだと思うんですね。その積み重なりが文化になり、価値になりという、すごく長いスパンで考えなければならないものだと思います。それが3年、5年のように、即時的に結果が求められる。経済の論理にある種絡め取られている部分と、それが故に大きくなっているという、すごく矛盾した価値観の中で、私たちは苦悩しながらやっていると思います。

それをもとにしながらも、私たちはそこに従事する人たちがいま言い始めている「実験し続ける事」の価値のようなものをきっちりと明言し、提言し、そして結果は、ある種の事業計画に落とし込まれるのではなく、未来に対しての投資として考える必要があると思います。

また、受け取る側のことを考えると、それは田村さんがいみじくも話していた受け取る側を育成するという一方的な啓蒙的ではなく、今回、例えば「テレビ」とか「番組」というキーワードはアートの中で、ある種エンターテイメントとして否定してきたようなワードというものも、あえて組み入れながら、私たちアート側もその可能性を実験している訳です。そこは新しいオーディエンスを育てるということではなく、そういうメディアの可能性を私たち自身も使いながら、改めて自分自身に対しての価値の狭さということを考え直す機会にもなったと思います。ですので、それは一方向だけではなくて、双方の議論と価値観と基準をもう一度突き詰めて、じゃあ新しいこういう基準はどうですかということを私たちから発信していかないと。

多分実験している人は、ある程度の成功体験を皆さんにお伝えしたいと思いながらも、相手に結果を委ねるしかないという経験があると思います。でも実は、「まだ価値がわかってないかもしれないけどこういう可能性、こういう将来があるかもしれません」という創造力を、いかに湧き立てさせるかというのが、唯一アートにできること、今無いものをイメージしなさいということだと思います。それが創造性であり、創造性は難しいと言い出すと何もできなくなってしまうので、それを止めずにいられる環境、そして仲間を、ネットワークを、いかに増やしていくか。

今回そういう意味で言うと、アイデアも構想も沢山このインデックスという記録集の中に含まれていて、今後3月に発行されると思うんですが、そこに含まれた人々の作品のアイデアと意志を、私たちがどう継いでいくかが委ねられていると思います。そのアイデアをやはり何かのかたちで実現する一助になった方が私は良いと思っていて。

実際、染谷聡さんという出展するはずだったアーティストと、偶然ですがお仕事する機会がこの1~2月にあったり、飯田志保子さんと一緒に審査員を務めさせていただいた公募展にたまたま、モエレ沼公園に出展予定だった持田敦子さんが参加することになったり。そういう意味で言うと、ある種の大きな意味でのリレーをしていると思います。

だからインデックスに込められたアイデアを、私たち関係者はきちんと読み込むことで、何かできることがあるのではないかを考えること。一つの単体の芸術祭という単位ではなく、もう少し大きな視点で芸術、アートと文化そのものを、誰がリレーを継ぐように、バトンを継ぎ、実現をして、さらにそれを価値としてアピールしていけば良いのではないかという議論を、もう少し複合的にやっていくべき、共創をコ・クリエイション(Co-creation)していくべきだと考えます。

 

田村

ありがとうございます。おっしゃってくださったように、色々な評価軸や、色々な価値観がいったん外れたおかげで、SIAFとして、すごくSIAFらしい中止の取り組みができたと思っています。この YouTube 配信も、わかりやすく「SIAF TV」と呼んでみるといったような、そういう素直な判断をすることができたと思います。いまこのプログラムは、クロージングトークということで、いったん終わるものとしてお話しをしていますし、一度発信すると、その後は受け取った側の仕事のように思ってしまいがちです。けれども、今この状況の中では、私たちがこの後も継続して、自分たちがやったことの価値をどのように伝え続けていけるかどうか、そこに責任と可能性がかかっているということを、木ノ下さんのお話しを伺って改めて認識しました。そこは他人任せにせずに、実験し続ける姿勢、心持ちと体力を持ち続けながら、クリエイティブにやり続けていけるかが、札幌国際芸術祭の枠組みだけではなく、アート全体の持久力みたいなことに繋がっていくんだなと感じましたので、このクロージングトークを終わりとせず、やっていく勇気を少しもらった気がします。ありがとうございます。

 

木ノ下

はい。それぞれのバトンが豊かに広がって、違う形でメタモルフォモーゼしていくような環境ができることが多分あると思います。今日頂いたお話も含めて次につながるようなことを、「根と雲」、皆さんが出したテーマですよね、その意志を継ぐことが私たちに課せられていると思いますし、それを受けられる人間になっていきたいと思います。ありがとうございます。

 

細川

ありがとうございました。コミッティーのメンバーは専門家でもありますがまさしく現場のプレイヤーでもあります。この観点のお話を木ノ下さんからお伺いできてよかったと思います。ありがとうございます。


そして最後は地元札幌のコミッティーである吉崎さんお呼びしたいと思います。

吉崎

こんばんは。本当に皆さん、おつかれさまでした。ディレクターとコミッティーのメンバーの中で、僕が、唯一ドキュメント展を見たことになるんですよね。オンラインを介して、皆さんもすごい熱量を感じていると思いますが、やはり現場にいると、これまでアーティストと積み上げてきたものをこのままで終わらせてはいけない、新しい価値を付け加えていこうという思いが本当にビシビシと伝わってきます。

会場の空間に身を置いたり、あるいは会場内のスタジオに日々色々なゲストが来て放送をしたりというところを見ていますと、今回、「今できる限りの方法」でということで特別編を表現していましたけれども、その言葉に違わず、色々なアイデアのもと、体力的にも限界ギリギリのところに挑戦をして実現しようということを感じています。本当におつかれさまでした。

細川

ありがとうございます。吉崎さんには実際に、一番身近で今回の特別編を観ていただいていたのですが、これまでのSIAFもずっとご覧になっている中で、今回の取り組み、そして今後のSIAFのことも含めて少しお話いただけますでしょうか。

 

吉崎

いま僕はこのSCARTSというアートセンターに在籍しておりますが、その前は札幌芸術の森美術館で学芸員を約30年やっていました。そういう文化施設に身を置きながら、札幌のアートシーンを見てきたという立場で少しお話をさせていただきたいのですが、確かに芸術祭が過去に2回行われたことによって、札幌のアートが少しずつ変わってきたというのを、やはり肌感覚として感じています。ただ一方で、SIAFが、孤軍奮闘しているというような印象も正直なところ持っているんです。札幌・北海道のアーティストの多くは、まだSIAFをちょっと離れた所から傍観しているようなイメージもあります。

また市内の美術館などの文化施設とも、北海道と札幌市の行政的な関係性ですとか、あるいは我々も含めて財団も、色々な思惑が絡んでいまして、必ずしも良好な関係とは言い切れないところもあると思います。

これまでのSIAFでも道立近代美術館や芸術の森が会場になっていますが、あくまでも会場として受け入れるという関わりが多かったです。今回、北海道の美術館の学芸員の力を頼って企画に加えてくれたということが僕はすごく嬉しくて。またそれが単に地元に関する企画ということだけではなく、今後の繋がりに広がっていくのではないかと思っているんですね。

 

大切な第一歩だったと思います。道内学芸員を加えたことについては先ほども少しお話しが出ていましたが、その考え方と、実際に色々な企画が出てきていましたけれども、それをどのように見ているか、天野さんからお話いただけませんか。

天野

ありがとうございます。私自身もこのようないわゆる“国際展”の経験は、2005年の横浜トリエンナーレが初回で、このSIAFが2回目だったんですが、当時はキュレーターとして参加しました。横浜美術館が会場になって、そこを担当していたんです。

これから将来、5年、10年、20年と考えていったときに、ただでさえ今逼迫している美術館の運営が、さらに相当大変なことになるだろうと感じています。公的な資金が減っていくということもあります。そのときに、施設がどう生き残っていくかということと、芸術祭とは、かなり密接に関係していると僕は思っています。美術館にとっての生命は、何と言ってもコレクションなので、そのコレクションが芸術祭にどう絡んでいくかということが重要です。今までとは違う見せ方をする工夫は必要ですが、そういう要素を必ず入れたいと思っていました。先ほど言ったように、一番詳しい人に聞こうとすると、まさにその美術館の担当学芸員が一番詳しい訳で。そういう方にメンバーに入っていただくことと、それから企画そのものに対してアドバイスも欲しい。つまり地元から見ている立場でどういう風に考えてこられたかということです。このようなことが今後も僕は必要だと思うんです。

 

吉崎

ありがとうございます。先ほど孤軍奮闘と言いましたが、美術館やアートセンター、そして芸術祭の、それぞれ目的や機能は違うかもしれませんが、さらに先にある「アートを通して人々に、社会に、何をもたらしたいのか」という大きな目標は共通していると思います。3年に1度札幌で大規模に開催する芸術祭だからこそできること、そしてまた札幌で地道に活動を続けている美術館、アートセンターだからこそできることというのはたくさんあると思うんです。

例えば、現代アートやメディアアートを市民に親しんでもらって、興味を持つ人を増やしていこうというのも芸術祭の目的の一つかもしれませんが、3年に1度であれば限界はあると思うんですよね。今回中心となったアートメディエーションという考え方は、これまでも美術館などで教育普及の名の下で行ってきたこと、また行っていくべきこととかなり重なる部分があると思います。SIAFだけで札幌を変えていこうということではなく、美術館やSCARTS、あるいはそれ以外にも札幌で行われているさまざまな展示、公演、そういうものの中でSIAFの位置付けや機能をもう一度明確にして、それぞれの良さを含めて総合的に札幌を考えていきながら、繋がっていければ良いと思っています。

 

細川

ありがとうございます。コロナの状況を踏まえて、札幌においてはどのような変化や、特に文化芸術における影響や、あとはこうなったらいいという希望的な観測も含めてコメントいただけますか。

 

吉崎

そうですね。札幌に限らず、色々な展覧会や公演などが中止、延期、規模縮小、そしてオンラインというように変わっていったところはあります。その中で逆にこれを一つの転機、考え方を変化させるべき時という風に捉えている動きを僕はすごく注目して見てます。このSIAF特別編は最たるものですけれども、市内美術館で今日(2/14)まで行われていたアートフェアや、ネット上でのさまざまな試みですとか、そういうものが新たなクリエティビティに繋がっているのをすごく感じます。この状況自体がただ単に悲惨な状況だとは僕は思ってなくて。大きく何かが変わっていくきっかけですし、これを乗り越えていくからこそ、また違うものが生まれてくると僕は捉えています。

天野

そうですね。先ほども言ったように、日本中の機関、公的な機関、これが新しく色々なスキームを持って変えていかないと本当に持たなくなるのはもう間違いないと僕は思っているんですね。例えばヨーロッパでも2000年に入って、日本の独立行政法人のようなエグゼクティブ・エージェンシー制度が導入されたときに、僕は吉崎さんと同じくらい、30年くらいこのキャリアをやっていますが、その時に古いタイプのキュレーターたちが、キャッチアップできずにずいぶん辞めていったのを目撃しているんです。つまり美術館のやり方が明らかに変わっていった。

例えばイギリスでもファンドレイズをやらなければならないというところにシフトした時に、そういうことに全くついて行けない、もう意味もわからないという状況があったんですね。恐らく学芸員も、例えば横浜美術館でも、横浜トリエンナーレに、そして現代美術に全く興味が無い学芸員もいるわけです。そうではなくて、とにかく全員で取り組んでいく、自分の立場で取り組んでいくというところにシフトしていかないと。あの人が担当なので僕は違いますというような話じゃなくて。そういうところを札幌で言うと、吉崎さんがおっしゃったように、SIAFが一人で踏ん張るのではなくて、色々な機関が「自分たちが本当にサバイブしていくために何が必要か」ということを考え、連携しながら進んでいくというのは、すぐにはできないかもしれないですが、大きな目標にする必要があると思いました。

 

細川

ありがとうございます。あっという間に時間が来てしまいました。コメントいただいたコミッティーのみなさま、本当にありがとうございました。YouTube上でもすごく沢山のコメントを頂いているので、それにお答えする時間を持ちたかったのですが、終了時間が過ぎてしまいました。大変残念ですが、最後にディレクターそれぞれからコメントを頂いてこのクロージングトークを締めたいと思います。

初めにアグニエシュカさんからお願いします。

【アグニエシュカ】

12月19日から始まった盛りだくさんのプログラムも、このクロージングトークで終わりです。ここまで実施してきたプログラムのアーカイブが、オンライン上に残されることを願います。しっかりと見るべきコンテンツばかりですので、今後も私のインスピレーションの源になると思います。またコミッティーの皆さまにも、先の見えない不安定な状況の中、SIAF2020の道のりをサポートしていただいたことに改めて感謝申し上げます。できることならば、私の専門性や経験を生かししながら、引き続きSIAFに協力できると嬉しく思います。本当に素晴らしい芸術祭だと感じています。次回2023年のSIAFにも期待しています。

 

細川

ありがとうございます。続いて田村さんお願いできますでしょうか。

田村

はい、もう言いたいことは山ほどあるんですけれども。中止を発表したのが7月で、もともとの会期が近づいてくるにつれて、色々な方たちがコロナの状況を見て「中止は正しい判断だったね」って言ってくれて。良かったね、いい判断だったよって言ってくれる方が多かったですし、私もそういうふうに思っているんですけれども、ただその「正しい判断をした」と言ってもらえて嬉しくない経験というのが、こんなところにあるんだって。正しい判断はできたけれどそれが全然嬉しくないという感覚は、もう後にも先にもないことなんじゃないかなと思うくらい。なので、私としてはSIAFの特別編を全力でやりつつ、そしてこの特別編をなるべく良いものにしつつ、やはり悔しさとか、やれなかったこととか、全てがなしになったっていうことへの怒りも同時に忘れずにいたいなと思っていて。それをぶつける形にはなりましたけれども、その力を出せたことは良かったなと思っています。

SIAF TVのこの10日間で、本当に色々な方からSIAFを振り返るお話とか、どういう視点でSIAFを見ているかという話を聞いて思ったのは、このSIAF2020は、展覧会がない分、明らかな形がないんですね。ここからここまでで終わりとか、もちろん会期はありますが分かりやすい形ではなくて。ただその分、2014、2017から受け継いできたものと、ここから2023に引き継ぐものを、今までにない形で繋げていくことができると思って。SIAF TVに出演してくださった方からも、今からもうSIAF2023を始めてしまえばいいとか、ゲリラで全員がそれぞれの場所でやったらいいとか、すでにSIAF2023はある、などというお話をたくさんいただいて。私もそういう風に思うことができたので、2023に向けて、コロナの状況の後どんな世界が待っているのかわからないけれども、もうすでに始まっていると思っています。

それを、一から新しく考え直す時に、例えば会期は本当に必要なのかとか、開場時間とかそういうものに縛られる必要があるのかとか。場所も、札幌の地元に根ざしたものでありつつ、札幌だけじゃなくてもいいんじゃないかとか、会場も建物じゃなくてもいいんじゃないかとか。そういった選択肢が今全部開けている状態だと思うので、この状態で今後の芸術祭を考えていけるのは、すごくSIAFの次の強みになると思います。

そこには、この特別編で私たちが示した「レジリエンス」、つまり踏まれても起き上がるしなやかな弾力みたいなことを、次につなげていけるといいなと思っているので。私はすごくすごく良かったと思っていると同時に、その悔しさとかやれなかったことを必ず忘れずに次に託したいなと思っているので、アグニエシュカさんと同様、私も今後もずっとなにかしらの形でSIAFに関われたらいいなというふうに思っています。ありがとうございます。

 

細川

ありがとうございます。では天野さんお願いします。

天野

まずは非常に個人的なことなんですが、僕もSIAFコミッティーのメンバーで呼んでは頂いていたんですが、よもやこの芸術祭のディレクターとして呼んでいただけるとは思ってもいなかった。しかもそれが他でもない、僕が最初に学芸員としてキャリアを踏んだ北海道という場所だった。

しかも先ほどお話しいただいたように、地元の学芸の方がかろうじて僕の同僚だったんですね。同僚だった人とお仕事ができたっていうのは、個人的に非常にありがたかったと思っています。その上で中止っていう判断をしたこと。それからこのどう理解すべきか分からないコロナの状況も含めて、僕はまだ全然事後的にしか考えられない。どう考えたら良いかというのは事後的に時間をかけたいなと思うんですね。

とはいえ、先ほどから皆さんがおっしゃられるように、本来の会期であった期間に本当に凄いエネルギーでプログラムを展開した。この事実そのものですよね、これは。展覧会自体は展覧会が終わるともう二度と再現できないという言い方をするんですが、今回は展覧会が無い代わりに、明らかに残るものがある。それはアーカイブと言っても良いと思うんですが、これを是非とも活用して欲しいなと。活用するためにはアーキビストが要るかもしれない。そういうような制度もこれからますます必要になってくると思うので、これを使って生かしていただいたら本当にありがたい、嬉しいな、と思いました。ありがとうございました。

 

細川

ありがとうございます。SIAFはどんどんチームが大きくなっているということを強く感じたクロージングトークになったと思います。YouTubeでも本当にたくさんコメントをいただきました。恐らく次回に向けては、このコメント欄に書き込んでくださった方達も強靭なチームになってくださって、そしてまた今までの2人のディレクターから3名加わって、5名のディレクターが我々のアドバイザーになってくれると思っています。引き続きよろしくお願いします。

 

田村

最後に、この特別編もそうですが、この全てのプログラムを本当に全力でやってくれた事務局チームのスタッフの皆さん、本当にありがとうございます。おつかれさまでした。札幌にいないので想像するしかないですけれど、想像を絶する仕事量だったと思います。本当にありがとうございました。そして見てくださった皆さんも本当にありがとうございます。

関わってくださった全ての皆さんにお礼を申し上げたいと思います。

 

細川

ではクロージングにしたいと思います。通訳の岩崎さん、田中さん、ありがとうございました。そしてコミッティーの皆さん、飯田さん、木ノ下さん、久保田さん、吉崎さん、吉本さん、本当にありがとうございました。

そして我らがディレクター陣、天野さん、アグニエシュカさん、田村さん、本当おつかれさまでした。ありがとうございました。

 

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