イベントレポート
2019.06.12

「ボリス・ラベが贈る 短編アニメーションの世界」を開催しました。

5月27日(月)に、トーク・イベント、「ボリス・ラベが贈る 短編アニメーションの世界」を開催しました。
当日は、多くの方にお越しいただき、満員御礼となりました!

前半は、ボリス・ラベさんの自己紹介からスタートし、ご自身の作品制作について、
手法、アイデア、参照したものなどをこれまでの作品ごとにお話しいただきました。

撮影:詫間のり子

学生の頃はアニメーションではなく、美術・美術史を学ばれたそうで、アニメーション制作には、サンドロ・ボッティチェッリ、ピーテル・ブリューゲル1世、フランシスコ・デ・ゴヤ、エッシャーなどの作品から影響を受けたそうです。ラベさんの作品の特徴でもある、ループや循環といった動きやアイデアの例など、実際に絵画作品に自身の映像をプロットしたアニメーションなどの映像もご紹介いただきながら話が進みました。

第22回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で大賞を受賞した作品《LA CHUTE》の制作風景も紹介。作品によって作画はご自身で行ったり、チームで行うこともあるとのこと。この作品ではラベさんの作画の方法を、スタッフにマンツーマンで一週間かけてレクチャーを行い、作業を進めたそうです。

作品ごとのプレゼンテーション後、代表作4作品を上映。
下記に上映した作品の予告編をご紹介します。

RHIZOME - Bande Annonce from Boris Labbé on Vimeo.

ANY ROAD - Trailer from Boris Labbé on Vimeo.

Orogenesis - Trailer from Boris Labbé on Vimeo.

La Chute - Trailer from Boris Labbé on Vimeo.

後半は、2019年3月に地下鉄南北線さっぽろ駅構内にオープンした「アイヌ文化を発信する空間(ミナパ)」にて上映されている新作《SIRKI》について、制作に協力したヴォーカルグループ「マレウレウ」のマユンキキさんを交えてのクロストークです。


《SIRKI》は、2018年7月にラベさんが10日間ほど北海道に滞在し調査を行い制作された作品です。
調査や制作の様子はこちらをご覧ください。

作品の制作にあたって、文様をはじめとしたアイヌ文化の調査を行い、自身の作品とリンクする部分を見つけ、作品のモチーフに使用されたそうです。
アイヌの人たちが身にまとう衣服に繰り返し使われる文様と同じフレーズが繰り返されるアイヌの伝統歌「ウポポ」との間に、ループという共通点を見出し、そこから「マレウレウ」の楽曲を使用したいという経緯に至ったそうです。

ラベさんの北海道滞在中に、調査にも同行されたマユンキキさん。アイヌ文化を紹介する際には、ご自身も客観的な視点からアイヌを観ることで、ラベさんがどのように作品を創造していくのか楽しみになったそうです。

最後に《SIRKI》の上映を行いました。
大きなスクリーンでの鑑賞は、ミナパとはまた少し違った迫力を感じていただけたのではないでしょうか。
オーストリアやスロバキアのフェスティバルでの上映も決まったとのことで今後も楽しみです。
鑑賞する機会がまだまだ少ない短編アニメーションの世界、たっぷり味わえる時間となりました。

 

イベント概要ページ:https://siaf.jp/event/talk/p9636/

 

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