エキシビション
企画展示都市と自然
SIAF2014 の中核となる現代アート展「都市と自然」では、国内外の現代アーティストの作品によって、北海道と日本の近代化の歩みと自然環境を振り返りながら、これからの札幌と北海道の自然、都市のあり方、エネルギー、暮らしを見つめ直します。
主会場となる二つの美術館では、それぞれの特徴と立地条件を活かした展示を行います。北海道立近代美術館の展示室Aの1階は、テーマ「都市と自然」のなかでも都市化・近代化に焦点を当て、岡部昌生による大規模な夕張炭鉱遺構のフロッタージュ作品に始まり、工藤哲巳やスボード・グプタによる迫力ある彫刻、そしてアンゼルム・キーファーのインスタレーションなどに至る作品群を展示予定。北海道の炭鉱史から原子力まで、エネルギーの転換期と、それを取り巻く環境や社会背景に関連した作品が並び、私たちの今の暮らしを支える近代化の過程を再考します。同展示室2 階は、畠山直哉の写真と、札幌の自然環境を表象する「雪」をテーマに、アートとサイエンスの角度から都市と自然を見つめ直すセクションとなります。そこではカールステン・ニコライ、高谷史郎の雪にちなんだ作品の展示と共に、中谷宇吉郎博士の雪の結晶の写真のアーティスティックな評価を試みながら、「自然」に焦点を当てたもう一つの会場、札幌芸術の森美術館へと橋渡しをします。
札幌芸術の森美術館では、中谷芙二子の霧の彫刻の新作《FOGSCAPE #47412》が中庭を中心に設置され、来場者を出迎える作品となります。館内では、砂澤ビッキの木彫、平川祐樹の新作映像インスタレーション、栗林隆の和紙を使ったインスタレーションそれぞれが、木や森をモチーフとした多様な表現を提示します。また、宮永愛子による器を用いたサウンド・インスタレーション「そらみみみそら」の新作やカールステン・ニコライの巨大な新作映像作品《unicolor》は、違う位相にある時間の流れをつなぎながら、まるで地下から地上、そして宇宙へと広がるような深淵な空間を作り出し、より抽象的に悠久の自然を体感させます。最後にはトマス・サラセーノの新作彫刻と、松江泰治が札幌を撮り下ろした空撮写真が、再び「都市」へと鑑賞者を誘います。 また、敷地内に位置する旧有島武郎邸では、三原聡一郎による《 鈴》の微細な音が野外美術館の散策へと来館者を促しながら人間と自然科学の関係について静かに問いかけ、野外美術館敷地内の森では、札幌の鳥カッコウを主題としたカノンを歌うスーザン・フィリップスのサウンド・インスタレーションが、自然と共鳴する空間を創り出します。
こうした二館での展示構成によって、本展では現代アートによる「沈思黙考のための空間」を創出しながら、「都市と自然」のテーマを体現します。
北海道立近代美術館
■日 程 :2014年7月19日(土)-9月28日(日)
■時 間 :9:30-17:00(最終入場 16:30)
金曜日(8/29、9/5は除く) 9:30-19:30(最終入場 19:00)
■休館日 :毎週月曜日 (月曜日が祝日又は振替休日のときは開館、翌火曜日休館。)
■担 当 :飯田 志保子(アソシエイト・キュレーター)
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