SIAF2014

アーティスト・作品

エキシビション プロジェクト パフォーマンス/ライブ

エキシビション

楢原 武正

1942年十勝広尾町出身。楢原のインスタレーションはこの20年余り、つねに「大地開墾」という題がつけられている。作品は鉄、トタン、空き缶、車の部品、針金、工場廃棄物などの廃品をアッサンブラージュし、それらを叩き、潰し、錆びさせ、変形させた後に全てを黒色に塗ったピースをインスタレーションしている。今年72歳になる楢原は、もともと十勝の開拓農家出身であり、彼にとっての黒はまさに北海道の黒土を表す「大地開墾」であると共に開拓農家の原風景であるのだ。その意味では、いかにも道民らしい、北海道の歴史を踏まえた作品なのかもしれない。ただし、使われる素材は自然物ではなく現代が生んだ人工の廃棄物よる集合体だ。近代化や工業化がもたらした社会問題を背負いつつ、日々廃材を集め叩き、潰し、釘を打つ行為の積み重ねは、楢原にとって新たな大地を開墾する祈りとも言えることなのである。厳しい自然環境での開墾を幼い時期に経験し、現在は札幌の都市部に生活する楢原が思う人生観によって「大地開墾」という空間を創造させているのだろう。
主な展覧会に「イメージ群−北海道の美術1986」(北海道近代美術館)、「第20回現代美術選抜展」(豊田市民文化会館他 1987)、「イメ−ジ響−北海道の美術1987」(北海道立近代美術館)、「北の創造者たち1991 金属のフィ−ルド・今・」(札幌芸術の森美術館)、「道東の美術展」(北海道立帯広美術館、帯広1992)「札幌アバンギャルドの潮流展」(北海道立近代美術館、札幌1994)、「北海道立体表現展」(北海道立近代美術館、札幌2001)、「楢原武正展」(大通美術観、札幌2014)などがある。
narahara

〈参考作品〉
《大地開墾》

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