エキシビション
カールステン・ニコライ
視覚芸術の活動とならび、アルヴァ・ノト(alva noto)名義で電子音楽を制作発表しているドイツのアーティスト。1999年にレーベルraster-notonを設立し、多様な実験音楽の作品をリリースする傍ら、坂本龍一、池田亮司とのコラボレーション「cyclo」や、他のミュージシャンとの共演でも国際的に知られる。2005年にドイツ国内2ヵ所で開催された包括的な個展の他、ドクメンタⅩ(1997)、第49回・50回ヴェネチア・ビエンナーレ(1999, 2001)など国際展への参加多数。2012年から2013年にかけて、大規模な映像インスタレーション《unidisplay》がモントリオール、ミラノ、フランクフルトを巡回した。国内では山口情報芸術センター[YCAM]での個展(2010)のほか、越後妻有アートトリエンナーレ(2003, 2012)、第4回ヨコハマトリエンナーレ(2011)などに参加している。2014年文化庁メディア芸術祭アート部門大賞受賞。
アーティスティックな形態とアプローチの統合を目指すニコライは、グリッド、コード、エラー、ランダムや自己生成構造といった科学的なシステムや数学的パターン、記号論を応用する。その実践は、《universe》《uniscope》(2010)から《unidisplay》を経て、このたび発表される新作《unicolor》へと発展してきた。札幌芸術の森美術館の壁面に投影される幅約16mの巨大な映像は、鏡の効果によって無限に拡張する宇宙のような空間を創造し、ジョセフ・アルバースやヨハネス・イッテンなど美術史上の先人たちの色彩研究を想起させながら、我々の色彩の知覚を洞察する。また、北海道立近代美術館でも、中谷宇吉郎による雪の結晶の研究に感銘を受けて制作された人工雪の作品《snow noise》を展示。
http://www.carstennicolai.de/
《unidisplay》2012
Museum für Modern Kunst Frankfurt am Main (MMK) での展示風景
Photo: Axel Schneider
Courtesy of Galerie EIGEN+ART Leipzig/Berlin and The Pace Gallery
©Courtesy Galerie EIGEN+ART Leipzig/Berlin / JASPAR, Tokyo, 2014