パソコンやスマートフォンのようなコンピューターが人々にとって日常的な存在となってから何年も経ちますが、その全ての仕組みを理解するのは難しく、うまく操作できないことも多々あります。 これらの機械は人間が作った命令「プログラム」に従って動いており、そのプログラムを作ることを「プログラミング」と言います。 そのプログラムを自分で作ることができれば、コンピューターを好きに扱えるようになりそうですが、いきなりプログラムを作れと言われても何から手をつければよいのかわかりません。 今回開催した『コドモのダイガク夏の実験「世界をつなぐ音をつくろうーサウンドプログラミングがつなぐキミと世界」』は、音楽を作ることを通してプログラミングを学べるワークショップです。

ワークショップには約30人の参加者が、プログラミングや音楽などそれぞれの興味をもって集まりました。 今回はSIAFラボのプロジェクトメンバーである佐藤正範(小学校教諭、科学技術コミュニケーター)と船戸大輔(デザイナー、エンジニア、プログラマー)が中心となって講師を務めました。

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会場のSIAFラウンジには、Raspberry Pi(ラズベリーパイ)という手のひらサイズのボード型コンピューターとディスプレイが、参加者分ずらりと並びました。 Raspberry Piとは教育向けに開発された小型コンピューターのことで、アメリカやヨーロッパの小学校ではプログラムを学ぶためにすでに使用されています。 安くて小さいのに色々遊べるということで、世界中で使われるようになりました。そんなRaspberry Piで動く、「Sonic Pi(ソニックパイ)」という音を扱うプログラミングアプリケーションを使って音作りをしました(Sonic PiはRaspberry Pi以外にもwindowsやMacOSでも動きます)。

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吹いたり叩いたりしなければ音が鳴らない楽器と違い、プログラミングでは命令となるコード(文字)をコンピューターに書き込むことで誰でも色々な「音」や「曲」を作ることができます。 では、どのようにコード(文字)を書いていけばいいのでしょうか。 まずは音を1つ鳴らすことからスタート。参加者が「play60」という文字を打ち込むと、コンピューターからは「ド」の音が流れだしました。次に、「ド」を2回鳴らすにはどうしたらいいのでしょうか、みんなで一緒に考えながら説明が進んでいきました。

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特に講師が熱心に教えていたのは音が重なる仕組み。コンピューターから同時に複数の音が聞こえる場合でも実際には全く同時ではなく、ギターを弾くと上の弦から順番に音が出るように、コンピューターが素早く順番に違う音を鳴らしていることを教えました。 その後も音色や音程を変えたり、音がならない時間、音を伸ばす時間の調整をしてみたりなど、プログラミング言語(命令をするための文字列)でどのように書くのかを順に説明。同じ文字列をコピー&ペーストして音を繰り返す方法など、コンピューターに馴染みのない方にもわかりやすいよう説明し、参加者は楽しみながら思い思いの音を作成しました。

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プログラミングというと難しい印象がありますが、1つ何かを書くごとに音として結果が返ってくるので、自分が何をやっているのか、何がどう影響しているのかがわかりやすく、音楽を作ることを通じてプログラミングの仕組みを自然と理解することができます。

一通りプログラミングの説明をしたところで、参加者を3人ごとのチームに分け、チームごとに音楽を作りました。 チーム内でお互いの作った音を聞いたり、意見を出しあったりして、1人ひとりが4秒の曲を作成し、それを3人同時に鳴らすことで1つの音楽にしました。

1人だけで作曲するのと違い、他の人と音を合わせる必要がでてくるため、それまで習ったプログラミングを駆使して曲作りをする必要があります。 作成時間はそれほど長くはありませんでしたが、それぞれのチームが協力して作り上げた音楽を披露し、会場となったSIAFプロジェクトルームは様々な音色であふれました。

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最後に作例として、SIAFラボのプロジェクトメンバーが、「Sonic Pi」を改良して現在作成しているアプリケーションで作った音楽と映像のパフォーマンスを披露。参加者からは歓声が上がりました。

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ワークショップ終了後、参加者の皆様にはご家庭でも引き続きプログラミングに触れていただけるよう、SIAFラボで作成しているSonic Piの日本語マニュアルを配布しました。 このマニュアルはまだ作成途中ですので、完成後にはSIAFラボウェブサイトでの公開を予定しています。

音楽を作るところから始まり、映像をつけたり本物の楽器と一緒にSonic Piで演奏したりと、プログラミングという入口から、その表現の可能性はどんどん広がっていきます。 9月21日から始まる「オト・ナ・コード・モ」と題した展覧会では、今回参加した皆さんが作った音楽と、大人向けのプログラミングワークショップクリエイティブ・コーディング・スクール in さっぽろ2015で作成された映像を組み合わせた作品が展示されます。皆さんの音楽にどんな映像がつくのか、参加された皆さんはもちろん、どんなことができるのか知りたい方も是非お越しになってご覧ください。

 

コドモのダイガク夏の実験 「世界をつなぐ音をつくろうーサウンドプログラミングがつなぐキミと世界」

開催日時:8月1日(土)・2日(日)13:00-15:30/16:00-18:30 開催場所:札幌市資料館2階 SIAFプロジェクトルーム 講師:佐藤正範(小学校教諭、科学技術コミュニケーター)/船戸大輔(デザイナー、エンジニア、プログラマー)