札幌国際芸術祭

一緒につくろう芸術祭公募プロジェクト

SIAF2017の会期中に札幌市内で実施するイベントや展覧会を、北海道内の団体、個人から募集。応募件数98件の中から一次審査で31件が通過し、その中から以下の企画が選定されました。

総評 審査員長 / ゲストディレクター 大友 良英

公募プロジェクトに応募の皆さん、本当にありがとうございました。全部で98 件、全ての企画に審査員一同が丁寧に目を通しました。皆さんの熱量に押されて熱が出るほど、そのくらい素晴らしい企画のオンパレードで審査員の意見も最後まで割れましたが、最終的には企画の完成度よりは、私たち芸術祭の事務局と組んで、どこまで企画案が発展し、より面白いものになっていくか、【芸術祭ってなんだ?】というテーマに対して、どういう方向の作品が生まれてくるのかという可能性で選ばせてもらいました。今回の選考で漏れた方の企画の中にも素晴らしいものがたくさんあり、最後まで迷いに迷ったものもありました。また、公募プロジェクトという形ではなく、別の方法でご一緒した方がいいと思えるものも何点かあり、この先、こちらから個別にお声をかけさせてもらう場合もあると思います。残念ながら、今回ご一緒できなかった方も、どうか、がっかりなさらないでください。

市民、道民の皆さんと、どう一緒にやっていくかというテーマで行われた公募でもありましたが、皆さんの応募企画や、それに対する皆さんの意見をひとつひとつ見て行く中で、またそれを踏まえ、審査員や企画メンバー、事務局と議論を重ねて行く中で、この先、芸術祭がどういう方向を目指し、市民、道民の皆さんと何をやっていくかの大きな指針にもなりました。本当に、本当に、感謝しています。どうもありがとうございました。

医療法人薪水 浦河ひがし町診療所IHAVE a DREAM アフリカを作ろう~ひがし町パーカパッションアンサンブル

障がいのある方たちを中心に、パーカッションを使った即興演奏を行います。その方々が日々を楽しみ、暮らしの中に多面的な価値を生み出していくことをテーマに、健常者も障がい者もなく、ともに笑い、表現できる自由な場を一緒に作りたいと思っています。また、そこに居わせた人たちと同じ時間を共有し、私たちや皆さんの持っている小さな弱さを持ち寄り、大きな夢(音楽)を一緒に作ることができればと思います。

企画資料 [PDF / 600KB]

 

選評

沼山 良明
SIAF2017エグゼクティブアドバイザー/NMAコンサート・オーガナイザー

 知的な障がいのある人たちによる即興演奏といえば、大友良英ゲストディレクターらが関わる神戸の「音遊びの会」が有名だが、ここ北海道でも2年前から、浦河ひがし町診療所に通院する主に精神的な障がいのあるメンバーが、東京から移住したジャズベーシスト立花泰彦氏をリーダーに、パーカッションによる即興演奏を楽しんでいる。ユニット名はメンバーのひとりが、パーカッションのことを「パーカパッション」と言ったことが可笑しくて「ひがし町パーカパッションアンサンブル」になったという。

 一般的に他者とのコミュニケーションが難しいメンバーが、SIAFに参加することで大勢の人々と心を通わせ、時には他ジャンルとのコラボなどを満面の笑みでパフォーマンスする姿が楽しみ。

公益財団法人北海道演劇財団中島公園百物語

四季豊かな自然の中に、札幌の歴史と文化を内包する中島公園。小中高生たちが中島公園周辺をフィールドワークし、この地域の歴史を掘り下げ、消え失せた様々な事物を今もそこに生きる妖怪としてフィギュアアートで出現させます。参加者たちを異界へ誘うのは、北海道演劇財団芸術監督の斎藤歩、チェコ在住人形劇師の沢則行。いつも見慣れた中島公園に潜む歴史再発見パフォーマンスです。

企画資料 [PDF / 167KB]

 

選評

小崎 哲哉
編集者/アートプロデューサー/京都造形芸術大学舞台芸術研究センター主任研究員

 妖怪たちが中島公園を徘徊している。北海道や札幌の記憶という妖怪が……。

 という設定だけでどきどきする。妖怪ウォッチではない。ポケモンGOでもない。子供たちが地元の歴史を調べ、フィールドワークやワークショップを行い、自分たちで考えて生み出す、いや、よみがえらせる妖怪だ。

 見たことのない妖怪が現れるだろう。過去の出来事が思い出されるだろう。忘れていたことや新たに学んだことが重なって、様々な考えが浮かぶだろう。

 完成したパフォーマンスを観終わったら、みんなで議論をしよう。もちろん、妖怪たちも一緒に。万国の妖怪と観客よ、団結せよ!

ワビサビ札幌デザイン開拓145年展

デザインって何だ?そのすべてを説明することは極めて難しいことですが、世界に名を轟かせた栗谷川健一氏のポスターをはじめ、札幌で生まれ育ったグラフィックデザインの歴史を紐解くことで、デザインって何だ?の問いに、少しは答えられるのではないかと考えます。普段の生活の中で何気なく接している、いろいろなモノやコトが、“デザイン”という名のもとにつくられているんだ、ということを、ぜひ知ってもらいたいと思うのです。

企画資料 [PDF / 302KB]

 

選評

磯田 憲一
公益財団法人北海道文化財団理事長/一般財団法人北海道農業企業化研究所(HAL財団)理事長/旭川大学客員教授/安田侃彫刻美術館アルテピアッツア美唄館長/君の椅子プロジェクト代表

 本格的な北海道開拓がスタートして間もなく 150 年。未開の大地を切り拓く「苦闘」「苦悶」の深さは、「豊かさ」の中に安住する今の私たちには想像も出来ない壮絶なものだったでしょう。はかり知れない血と汗を流しながら、苦しみを乗り越えてきた日々。その困難を耐え抜いたのは、この大地が秘める可能性に希望の光を見出すことができたからに違いありません。その、「希望」を目ざした歳月の中で、様々な北の営みをアートの力で多様に表現し、広く提示してきた北海道のデザイン史。その連綿たる歩みを、「デザイン開拓 145 年展」という形で振り返ることは、今を生きる私たちに、「アート」の持つ力と役割を再認識させてくれる機会となってくれるのではないか。次なる時代を切り拓いていくために、多くの示唆にみちた「アート展」となることを願っています。

札幌 ギャラリー × ゲストハウス プロジェクト実行委員会札幌 ギャラリー × ゲストハウス プロジェクト「アートは旅の入り口」

ゲストハウスを主な会場とし「旅」をテーマに展示やイベントを行います。近年その存在が注目されているゲストハウスの持つオルタナティブな可能性を活用し、札幌を訪れている人と一緒に市民も札幌の街の魅力を発見し楽しむ機会を作ります。そこにアートがどのように関わっていけるのか、札幌のギャラリストがアーティストとともに考察します。

企画資料 [PDF / 1.6MB]

 

選評

宮井 和美
バンドメンバー(SIAF2017企画チーム)/モエレ沼公園学芸員

 近年、急増している海外観光客の受け入れ先としても注目されるゲストハウスと、札幌のギャラリーがタッグを組む、新しい試みが評価されました。旅行者に北海道の作家を紹介する機会を提供し、中心部に偏りがちな宿泊場所から、市内に分散しているゲストハウスへと足を向けさせることで、まちの新たな側面を発見してもらえる機会になるのではと考えます。また、展示だけでなく、ギャラリー、ゲストハウスを周遊するための冊子、ウェブサイトなど、アウトプットも計画されており、SIAF2017だけの事業でなく継続したプロジェクトとなりそうな点も高評価に繋がりました。旅人と街の人々を巻き込むユニークな企画に発展していくことを期待しています。

安斎 伸也モバイルアースオーブン

  • オーブン自体を土、砂、ワラを使って手作りします。
  • 元消防車両にオーブンを搭載し移動
  • 好きな場所で窯開き!
  • 本物の火で調理するのに、本物の消防車両に積んでいる圧倒的な安心感!まさに現代の『矛と盾』

芸術の『芸』って、自然の植物に手を加えて栽培する様子を表す字。
つまり食べる為に、人が耕し、種蒔き、育て、食す、人の根本的な行為の象徴!
芸術祭=良い仕上がりの食べ物を手に集まって、食べて楽しむこと。

企画資料 [PDF / 457KB]

 

選評

宮井 和美
バンドメンバー(SIAF2017企画チーム)/モエレ沼公園学芸員

 オーブン作りや、野菜を中心とした食材の持ち寄りによって、お金を介さないゆるやかなコミュニケーションの場作りが行われること、また、消防車でのオーブンの移動など、注目を集める外観で、芸術祭の広報係としても活躍してくれそうだという期待が、採択の決め手となりました。機動力高く、芸術祭の各会場を繋ぎ、芸術祭全体を盛り上げてくれる可能性も感じます。単に「食」を扱うプロジェクトであることに留まらず、企画者の「食べること」や「食べるもの」の持つ力を信じているであろう思考が行き渡るプロジェクトとなり、街の至る所で食とアートを繋ぐ賑わいの場が生み出されることを期待します。